満足度★★★★
Sの字×空宙空地「空中のエス」観ました
名古屋演劇界の中堅どころ、関戸哲也とおぐりまさこが、作・演出とプロデューサーとしてタッグを組んだ企画。
精神分析用語でもあるタイトル「エス」に惹かれたのか、自意識・自我に関わる作品が多い短編集となりました。
iakuを彷彿とさせる綿密な伏線が、観客自身の心の闇を振り返らせる一人芝居。
個性的な若手やベテラン役者の持ち味を活かし、どうしようもない現実に絡めとられた自我と、それでも生きているわずかな希望を覗かせる二人芝居。
等等、一人の作家がこれだけバラエティに富む盛りたくさんの物語を提示。続けてきた重み。
各編とも、細やかな機微に富んだ演出・演技が、劇場を出た後々まで豊潤な印象を持ち帰らせてくれた。
そして一本、全然考えさせないとんでもないバカ作品もw
(あれは、台本で読んでもそれほどでもないと思うけど、舞台上のビジュアルで目の当たりにさせられると、ぐうの音も出ない…)
あろうことか、そのバカ作品「喫茶店」と、よこしまブロッコリーや劇王子などで何度目かの再演、叙情あふれる作品「雨の日はジョンレノンと」双方に、なぜかベケット的味わいを感じてしまったという。。。(あいちトリエンナーレの影響?)
観劇体験というのは、じつに奥が深い。(←何か間違ってる)
「雨の日はジョンレノンと」は、きっとまたどこかで再演されるので、ネタバレしません。
「喫茶店」は…再演ないとは思うけどネタバレするのも無粋な作品ww
好みはあれど、全編手堅く、次回公演も信頼できるショーケース短篇集でした。