Two Moons 公演情報 明治大学演劇研究部「Two Moons」の観てきた!クチコミとコメント

  • 「ラムネ色の青春」と東日本大震災



    それは、ラムネ瓶をコンクリートの路上へぶつけ、「青春」の泡がブクブクと溝を辿る光景である。

    弾けた後に残った感情が、ぬるいラムネの味と そっくりだ。


    「1対1」の若者の対話を、10分 間以上 辞めないのは 前回公演『はるうすねいしゃん』でも炸裂した技であるが、その静寂を通し、主人公の青年の筍のような純粋さ が私には伝わった。
    東日本大震災に打ちひしがれた日本全国の若者へ、「記憶」という人差し指を掲げ、「友情」だとか、「仲間」だとか、「生きがい」だとか、大切なものを与えてしまうメッセージ。

    あの3.11を境に、東北沿岸の住民は「海が嫌いだ」と声を上げたし、「それでも海がないと暮らせない」複雑な本音も語った。
    前者は自宅を失った女子高校生であり、後者は市場ごと流された水産業者である。

    主人公の青年は高校生の頃、水泳の部活動を行っていたらしい。
    その設定は、今紹介した東北沿岸の住民の声を1人の青年に置き換え、「ところで、“海”って何だろう…」を追う知的世界の狩人に他ならない。

    ファンタジーの煙を充満させた。

    しかし、「1対1」の対話が 額面通りの青春像だったので、私たちと全く等身である。
    東日本大震災で流された海上に、ラムネ色の青春は今もユラユラと浮かぶ。








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    2013/10/19 23:34

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