満足度★★★★★
特別だけど特別じゃない
幼少期と、それくらいの子どもを持つ大人になった二つの時間がシンクロしていた。男を作って蒸発した母に捨てられ、父と二人で明るく生きる女の子。親が事故で亡くなり、性欲が無く処女だという母の姉に育てられる男の子。その二つの家庭がシンクロしていた。時間と空間をシンクロさせる構成に痺れた。とにかく女の子を演じた浅野千鶴さんが素晴らしい。彼女の演技を何作品か観ているが、良さが余すところなく発揮されている。キュートな笑顔。憂いのある眼差し。切なさや恐怖を押し殺し、どうってことないふりをしたスウィートボイス。照れ隠しのようなユニークなダンス。とにかく魅力満載。挿入される歌が、世代的にもろにフィットする選曲でまいった。大好きな『イン・マイ・ライフ』もだが、クイーンの『Somebody To Love』の大合唱はひっくり返った。笑った。時間のシンクロ、空間のシンクロ、音楽と演劇のシンクロ…こうした意味の『シンクロ少女』なのならば、もう脱帽。恐れ入った。人間の業というか、心の奥底にずっとあるような性への執着のようなものを見せつけられた感じがする。でも決して嫌な感じではない。すごいなぁ、シンクロ少女。次回作も必ず観たい。