満足度★★★★★
面白かった
3.11の震災後の小名浜が舞台とあって、復興の厳しさや辛い生活を観ることになるだろうと少し身構えていた。しかし、そんな気持ちはすぐにほぐされる。目の前で繰り広げられている景色に特別なことはない。どこにでもある、人と人との触れ合いそのまんまを観ていたからだ。
恵比寿と小名浜は近所と呼べるような距離ではないのに、この『泡』を観てると客席と舞台ほどの距離に縮めてくれる。遠い異国の話ではない、地続きで当たり前の日常がそこにはあり、その日常で起こっている問題は我らの問題でもある。
被災地の話なのに「面白かった」と抵抗なく言えるのは、深刻な問題を抱えつつも前向きな作品だからにほかならない。