満足度★★★★
コメディって…!?
「黄金のコメディフェスティバル」千秋楽ぶっ通しスペシャルにて観劇。もしこのイベントが純粋な演劇コンペであったなら、バルブはこの作品に一票を投じていたかもしれない。それくらいの佳品。だが、コメディコンペというイベント趣旨を考えると、やはりこの作品には入れられなかった。たびたび笑わせてはもらったもののセンチメンタルに過ぎるこの作品をコメディとは捉えられなかったのだ。他の投票者の皆さんも思いは同じだったのか、本作だけが俳優賞を含め何の賞にもあずかれず、無冠という結果に。作・演出家は王道的コメディをあえて避け、ダメもとでこの「emiko」という、6作品の中でただ一つ口語演劇の演技メソッドを採用した一風変わった作品をぶつけてきたのだろうが、“コメディは多様”ということを示しただけでも意義深い一作だったと言えよう。
しかし、同じくセンチメンタルな色合いが強いPMC野郎「死が二人を分かつまで~」がグランプリに輝き、本作が無冠に終わるという、その分かれ目は一体どこにあるのか? バルブはなぜ前者をコメディと捉え、後者をそうは見なさなかったのか? さらに言えば、コメディとはいったい何なのか?
考えれば考えるほど分からなくなってくる。