満足度★★★
前衛的な美しい、夢を見た気分
イサムノグチの作品は、感じることはできても、あまり理解し得たと思ったことはありません。
どんな人物だったのかも、よくわからない印象。
そういう、不可思議な人物を、窪塚さんが、体現される様子が、小気味よい舞台作品でした。
日本の古式ゆかしさを大事にする彼の考え方に、そんなもの、とっくに消え失せたこの国の人間として、辛い戦慄めいた思いが、何度も心をよぎりました。
村上春樹の作品を舞台化したような非現実的なシーンと、昔の、日比谷芸術座で上演したような東宝現代劇チックなシーンとが、ないまぜになった、一種アンシンメトリーな舞台空間でしたが、それが不思議とアンバランスでもなくて、何だか曰く言い難い観劇体験をさせて頂きました。
視覚的に、妙に心に残る美しい舞台でした。