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三一路倉庫劇場(ソウル)『結婚』
観てきた!クチコミ一覧
クチコミとコメント
公演情報
タイニイアリス「
三一路倉庫劇場(ソウル)『結婚』
」の観てきた!クチコミとコメント
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ぱち太(1702)
満足度
★★★★★
力強い・・
直球勝負。
やっぱ芝居はこの位シンプルで、元気じゃないと、と思った(笑
ネタバレBOX
整形がおそらく日本以上に頻繁に行われていると言われる韓国。
男女ともに美男美女でなければ就職も難しいと言われる国。
若くして成功を手にするもの以外は年金さえほとんどない。
いつ北との戦争が始まってもおかしくない。
・・考えてみれば日本よりずっと深刻な歴史・地形・社会情勢なのに、
この舞台の前向きさは何なんだろう?
整形した人ばかりだから、今愛し合って結婚したとしても、
50年後にはまったく別人の顔になってるかもしれない。
戦争が起きて一文無しになっているかもしれない。
詐欺師の父親をずっと待ち続ける母親。
他の両親のいる子どもたちからは「オマケ」と言われ、
ひとりさびしく子どものいなくなった路地裏で遊び続けるのが嫌で、
終バスで疲れた顔をして帰る母親を暗くなったバス亭で待ち続ける子ども。
でも、その母親にとってはその娘は決して他の子供たちが囃し立てるような「オマケ」ではなくて、
どれだけ疲れていても、行商で売れ残った野菜で
腕によりをかけて遅い晩ごはんを作る自慢の娘だ。
なけなしのお金で鼻を整形して臨んだ就職試験にも落ち、
母親が幸せを願って登録した結婚相談所で、
借財に囲まれた豪邸で待つ一文無しの男と遭遇する(借金はないよう(笑
男から情け容赦なくカルチエや何やらのブランド物の装飾品を、
時間とともに剥ぎ取る老執事は、
まるでおとぎ話に出てくる時の番人のようでもある。
老執事は、男が借りたものの取立人であり、
きっと死神でもあるのだろう。
この夢のような物語は、
男が死ぬ前にみた走馬灯のように自分の人生を振り返った夢なのかもしれない。
女性にとってこの男は、
自分と母親を捨てた父親の象徴でもある。
でもこの子は気づく。
母親がずっと待ち続ける男なら、
望んで彼女たちを捨てたんだろうか?
苦しみながら立ち去ったのかもしれない。
ひと財産築いて母親と子供を楽にすると本気で約束して
それが果たせぬままどこかの路上で頓死して、
母親もそのことに薄々気づきながらも、
生きていることを信じて待ち続けながら自分の人生を終えられる幸せに気づいているのかもしれない。
娘は「母親のように待ち続ける人生は送らない!」と言いながら、
やがて借財まみれの一文無しの男に惹かれるうちに、
母親と父親の目に見えない絆に気づいてしまう。
この物語はおとぎ話である。
普通、借財を身ぐるみ剥がれてパンツ一丁の男がいくら愛を語ったとしても、
女性は見向きもしないだろう。
だからこそ結末が美しい(苦笑
人間、死ぬときは裸だ。
どんな華美な装飾品もこの世に置いていく。
あの世に持っていけるのは棺桶に詰まれ、
やがて遺族に墓前にも捧げられる花たちと、
線香の煙に囲まれて家族が語る四方山話くらいのものだろう。
男は借財を剥がれていく中で、
華美な装飾品の無意味さを悟る。
老執事は最後に男から全てを剥ぎ取る前に、
最初の予告通り20秒ほどの余分な時間を呉れる。
これこそが、この物語の最高のファンタジーなのかもしれない(笑
普通、死ぬ前に好きな女性にこっそりと愛を語る20秒の時間は与えられない。
ただ、稀に与えられることがあるらしい(母親が嬉しそうに言っていたのを聞いたことがある(笑
夢なのかもしれないと思ったけれど、
それこそが神さまがこの世にいる証拠なのかもしれないとも今は思う。
別に大した財産など無くても、
その20秒さえ終末に与えられれば、人生は上出来だし
生きている価値はあると思う。
逆にそれが無ければ、いくら財産に囲まれても人生は不毛だ。
ソウル公演のものと思われるチラシのイラストが素敵だと思った(笑
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2013/08/18 00:31
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