彼らの敵 公演情報 ミナモザ「彼らの敵」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    あの『熱狂』の!
    現実は一つでも人の数だけ事実があるのです。

    ネタバレBOX

    パキスタンで誘拐された経験を持つ服部貴康さんの、誘拐時のエピソード、帰国後のバッシングやマスコミの様子、そんな彼が週刊現代のカメラマンになり実際にしてきたこと、そして週刊現代を辞める経緯などをモチーフにして、坂本という男の物語を時間と空間を交錯させながら描いた秀作でした。

    現実は一つでも人の数だけ事実がある。しかし、すべての人が自己の事実を公表することができなかった時代では、一方的なマスコミ報道が真実と思い込まされてきました。

    この作品は坂本の立場に立ちながらも、様々な方向からそれぞれの事実を見せてくれたことによって、自分なりの事実を構築することができました。

    パキスタンで会ってもいないのに川下りを思い止まるように説得したという女性記者との面会シーンで、記者が坂本に名刺を渡さなかった行為が全てを物語っていました。既知の間柄では名刺は渡しませんものね。一瞬たりとも隙を見せない場慣れたマスコミにギャフンと言わせるのは大変です。

    現在、土屋アンナさんの舞台降板騒動が騒がしいですが、ネット社会になってそれぞれの事実が簡易に公表できるようになったことで、当初単なるドタキャンかと思われていた事象の背景に様々な問題があったことが明らかになり、判断材料が増えました。有名人の反論と一般人の反論とでは大衆の受け取り方は違うでしょうが、それでも当時とは異なってきました。

    後半、坂本の唾を飛ばしての熱演に、あの劇団チョコレートケーキ 『熱狂』のヒトラー役だった西尾友樹さんと気付き、改めて演技の素晴らしさに感嘆しました。『ファミリアー』のワンワンのときはどこかで見たことがあるという程度でした、失礼。

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    2013/08/02 13:05

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