ロミオとジュリエット 公演情報 宝塚歌劇団「ロミオとジュリエット」の観たい!クチコミとコメント

  • 期待度♪♪♪

    2014年,宝塚歌劇団は,創立100年周年を迎える。
    2014年,宝塚歌劇団は,創立100年周年を迎える。青弓社では,2009年に,この宝塚に関する最新の分析をしている。ここから,いろいろな視点が見える。一番良いのは,演劇界全体が,宝塚を見直すことで,くっきりと把握できたことだ。以下,本にそって。

    タカラヅカのイメージは,男装の麗人,オーバーアクション,羽つき衣装で大階段を集団で降りて来る・・・などがある。あとは,世界的にみて,未婚の女性が構成する珍しい例。

    タカラヅカは,芝居+ショーが核となっている。近代演劇では,登場人物になりきることで,役者そのものは一応消えるべきだが,ここでは,そうならない。たとえば,愛称チャーリーの役者は,チャーリー・バーで,舞台を去るチャーリーを演じて,その退団をみなで脳裏に焼き付ける。これ以外にも,ずっと観るひとが多いので,演出を圧縮していく。演劇の中で,感情表現そのものが,削られ省略されて,なおかつみんながわかる。

    タカラヅカは,唐十郎が,不忍の池からスタートしたり,東京スカイツリーで終えるような,大胆な演出を先取りしたグループに入る。商業主義的かもしれないが,その分わかりやすい。つかこうへいの『蒲田行進曲』は,最近,小劇場に戻ってやっていた。これには,最初,根岸季衣が演じた小夏がいる。映画で,松坂慶子となり,テレビ版では,大原麗子になった。風化舞が,『銀ちゃんの恋』で小夏を演じているが,一番良いという。

    演劇としては大事な,ストリーより,キャラクターを尊ぶ。思想的には,深くなることはあまりない。新宿コマ劇場は,小林一三が,なした最後の事業だ。ワンフロアーに3000人がはいる。いきおい,古代ギリシア劇場的で,観客の視点は一点に集まってしまう。チケットが取れた人は,そこで,カタルシスまでいかないが,元気をもらえる。レヴューこそ宝塚の本質。ちなみに,最近多いプロデュース公演などは,観る側に,信仰心みたいなものが薄くなるので,さらに,カタルシスは到達しにくかもしれない。

    宝塚の『アイーダ』,つまり,『王家に捧ぐ歌』は演劇好きの人には物足りないようだ。エチオピアVSエジプトの戦。そこで,王女アイーダは,愛に生きるために苦悩する。ヴェルディのオペラが凄すぎるので,批判されたようだ。現代のオペラには,演出家の存在が絶大である。しかし,オペラその掟で,台本と音楽は変更できない。宝塚では,作・演出が同一人物になっている。これは,伝統的に強みともなり,また,欠陥にもなって来たという。宝塚は,新作主義となっている。それゆえ,100年もトップを走ってこられた。ただ,古典なのか,現代的作品なのかあいまいな作品も時に生まれる。

    宝塚は,1914年(T3)に桃太郎の歌劇で始まった。レヴューのスタートは,1927(S3)で『モン・パリ』である。当初,一過性に思われた。レヴューに対して,宝塚情緒というものもある。岸田の『モン・パリ』のあとに,白井の『パリゼット』が,大ヒットし,宝塚の性格を確立した。

    現在の宝塚歌劇団は,阪急ホールディングスに属する阪急電鉄直営である。グループ企業に東宝がある。1920年に,宝塚音楽学校を設立した。小林一三は,根幹は,西洋音楽だった。1924年には,花・月・雪の三組が,年12公演行うようになる。岸田,白井は,シャンソンを直輸入している。1975年には,奇抜であったが,『ベルサイユのばら』という歴史的大作ができた。あとで,これをフランス人自身が映画化したが,なぜか,宝塚の男役の方ができがよかったようだ。

    当初は,半々だったが,現在は,圧倒的に女性がしきるファン層である。一度はまるとドラッグのように抜け出せないという。『高声低声』での批判は下火になり,現在,ネットなどに場を移している。拍手以外はご遠慮ください=掛け声はやめてください,というルールがある。1932年までは,実は男性の方が多かった。これは,女学校などで,出入りを禁止した時期があったためらしい。現在でも,外国人には門戸を開いていないようだ。

    宝塚という装置は,草創期から,一貫して「西洋」という「夢の世界」を使用し,宝塚という「夢の世界」を建設して来た。

    参考文献:宝塚という装置(青弓社)2009

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    2013/07/29 19:57

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