彼らの敵 公演情報 ミナモザ「彼らの敵」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    見ごたえあり
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    ミナモザの【彼らの敵】を観劇。

    今作は初見の劇団だ。

    危険地域のパキスタン・インダス川へ川下りをした学生達が、現地の強盗団に誘拐されてしまい、44日間の監禁の末、脱出したのだが、日本に帰国するや否や彼らの無謀な行動に、世間のバッシングを浴びてしまったという22年前の事件を
    覚えている方はいるだろうか?
    今作は彼らが強盗団に監禁されていた期間と、その後の人生を描いた作品である。
    無謀な行動と思われていた事件は、実はマスコミの捏造された記事によって広まってしまい、世間が言うほど大げさな事ではなかったようだ。彼らはマスコミに何度も抗議を試みたのだが、ジャーナリストの正義という名の論理の下に、糾弾されて路頭に迷ってしまう。それに準じて、世間の目は更に冷やかになっていく。そして気がついてみると、彼らは同じマスコミの仕事を始めていて、自分が同じ目にあったような事を知らず知らずのうちに他者に対して行ってしまっている。そして知人のジャーナリストの助言によって、やっと過去の自分から解放されていくのである。
    今作の作品の狙いは、人間の想像力の欠如について語っているようである。
    何をしたらどうなるか?という事を常に想像しながら行動していれば間違った事というのは起きずらいというものだが、その想像の前に論理が常に先行していて、場合によっては全てを駄目にしてしまう危険性と孕んでいるという事に言及している作品である。それは学生達のパキスタンでの行動、マスコミの捏造報道、それに踊らされてしまっている国民と人間の想像力と論理のバランスが崩れてしまった状態の危険性を問うている。ただ物語自体は決してテーマ主義になっているのではなく、現在、過去のシーンを交互に展開しながら描いているので、非常に見やすく、学生達の視点で観れるので、マスコミに対する怒り、自身の苦悩を共感しながら、見応えのある人生を経験する事が出来るのである。
    所謂、劇場を後にした時に、テーマや物語について皆と語りたいぞぉ!と思わせてくれる作品である。

    お勧めである。

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    2013/07/26 07:23

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