新人戯曲賞ドラマリーディング『ダム』(2006年度受賞作) 公演情報 日本劇作家協会「新人戯曲賞ドラマリーディング『ダム』(2006年度受賞作)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    2006年度劇作家協会新人戯曲賞受賞作
    応募作というのは小屋に掛けることを気にしないで書けること、そして審査員の心をくすぐる要素を入れることが重要だと知りました。

    ネタバレBOX

    川辺川ダムに反対して民宿を営みながら土地を売らずに住み続けた母の跡を継いで住んでいる女性と川辺川ダムを巡る話。

    第一ダムの放水によって夫(主人公の父)が死んだこともあって母親はダム建設に反対していたとのことでしたが、反対と言いながら第一ダムと第二ダムは既にある、また主人公の思い出の地は土地が掘り起こされていたなどの経緯から、ダム建設はもう既定路線のことで、工事がどんどん進んでいる過程の中での話かと思ってしまいました。

    母と学者との20年近く前のドロドロした関係は分かるとして、娘と学者が妙な関係になりかかることは理解出来ませんでした。

    ふすまを開けたらそこは廃墟だったという、実際の舞台で見たら強い印象が残るようなラストシーンでしたが、何も学者を幽霊にしてまでことさら寂寥感を煽るほどのことは無いと思いました。

    結局、妊娠したことで国土交通省のダム担当の職員を夫にして私生活は充実、民宿や叔父さんの土地を売って数億円を手にしてしばらく傍観、最終的にはダムはできず、将来土地を買い戻して民宿を再開、事情通のこの夫婦は最強の錬金術師です。

    アフタートークで、妊娠のことを安易に取り入れる傾向があるというお話が坂手洋二さんからありましたが、執筆時から受賞時にかけて嶽本あゆ美さんは実際に妊娠されていたということで、坂手さんも、『まほろば』におけるそんなバカなということも一概には否定出来ないと認識を改めたとのことでした。それでも妊娠を男女の駆け引きに都合よく使うことは嫌いのようで、平田オリザさんの作品を観てまた使ってると思ったことがあったそうです。

    アフタートークを面白く拝聴して、その後『阿房列車』を観て、作者の日常過ぎるぐらいの日常に非日常を混ぜる手法に、また使ってると思いました。

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    2013/07/06 10:29

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