オペラ座の怪人 公演情報 劇団四季「オペラ座の怪人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    パリ・オペラ座は,『オペラ座の怪人』では,怪人以上に主役
    パリ・オペラ座は,『オペラ座の怪人』では,怪人以上に主役

    ガストン・ルルー(1868-1927)は,密室殺人の古典的推理小説です。『黄色い部屋の秘密』で有名です。

    彼は,パリ大学法学部出身で,弁護士,「ル・マタン」で裁判記事も書きました。書く。その後,作家に転身しています。「司祭館は,その魅力をいささかも失わず,庭の輝きもまた昔のまま」という謎の詩句で,一世を風靡しました。

    ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』は,1910年に出版されました。ほぼ80年後にやっと,日本語に翻訳されました。これは,ロイド=ウェーバーのミュージカル時代になるまで,されも翻訳しなかったということです。

    『オペラ座の怪人』には,ガストン・ルルーが,ミュージカルにするまでに歴史があります。

    まず,1916年,ドイツで,映画化されました。残念ながら,フィルムは残っていません。1925年に,ユニヴァーサル映画が取り組みますが,この映画作品では,怪人は,セーヌに投げこまれて死にます。

    1942年になると,カラー映画が作られました。エリックは,クリスティーヌの父ですが,娘のレッスン代に頭を悩ませています。これは,今でも同じ悩みを持つ親御さんもいるから,共感できることでしょう。お金の問題で,楽譜会社の社長とケンカになって,なぜか,劇薬を自分自身が浴びてしまうのです。顔全体が醜く崩れ,人前に出られないようになったエリックは,クリスティーヌを地下につれこみ,最後,瓦礫の下敷きになるところで終わっています。

    1962年になりますと,イギリスで,ホラーで有名な,ハマー映画によって作品化されました。ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』も,ホラー系を引いていますね。ここでは,作品中に,架空作品『ジャンヌ・ダルクの悲劇』が挿入されています。

    1983年になりますと,オーストリア・ハンガリー帝国末期のブタペストを舞台にマクシミリアン・シェル主演のCBSテレビ映画が人気になります。指揮者サンドアは,愛妻に手を出し,死へ追いやった評論家ともみあいになり,結果硫酸を被ります。歌劇場の地下で,妻と良く似たマリアの教育係になってみますが,あわれ,最後は,シャンデリアとともに落下して,死ぬのです。

    以上が,ロイド=ウェーバーのミュージカルが出現するまでの,『オペラ座の怪人』ということになります。

    芸術は,どこまでオリジナルであるべきなのでしょうか。ロイド=ウェーバーがミュージカルを手がけていますが,同時期に,1937年,作曲家ではなく,劇作家であったケン・ヒルの試みが有名です。

    ロイド=ウェーバーは,続編も作りましたが,今その作品の存在は忘れられています。「劇場には,魔物が住んでいる。」怪人とは,劇場に棲みつく魔物。ファントムは,生ける骸骨。目が黒い穴。鼻がない。顔全体がひどく歪んでいる。声がひどい。でも,最近では,これは,老醜の話と感じる方も多いようです。

    パリ・オペラ座は,『オペラ座の怪人』では,怪人以上に主役なのです。地底湖は,本当にあったのでしょうか。ガニエル宮建設中,大水が出て,オペラ座の地下にあのような無粋な世界が発生したというのが,真実らしい。

    バレエ映画『白鳥の死』には,この地底湖が出てきます。ローズと言う娘は,は,ひいきのバレリーナのために,別のバレリーナに大怪我をさせます。逃げるには,地下の水槽を利用するしかない。そういう場面もあったわけです。

    なお,1896年,『エレ』上演中,恐ろしい事故がありました。四階席で爆発事故があったのです。確かに,シャンデリアが一人の観客の命を奪ったのです。

    参考文献:オペラ座の迷宮,鈴木晶(新書館)

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    2013/07/01 18:44

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