満足度★★★★
歌舞伎の本質を伝えるポップな現代演劇
原作歌舞伎の世界観を壊すことなく、丁寧に余白を埋めて、現代に通じるお芝居にしていました。
たとえば花組芝居のように女形が登場したり、衣裳が豪華絢爛だったり、
歌舞伎のビジュアル要素を用いるのではなく、
歌舞伎の本質をポップな現代演劇にして伝えてくれたと思います。
役者さんは皆さん素晴らしかったです。
特に老女岩手を演じた武谷公雄さんの技術は非常に高いと思いました。
照明も音響も音楽も転換も良くて、あの小さなスペースで組み立て式のセットでも、
十分に歌舞伎作品として味わえました。
実際の歌舞伎では、メインの俳優以外の俳優はリアクションをしなかったりするので、
現代劇に親しんでいる私は、最初はその方式に馴染めませんでした。
でもこの作品では、俳優それぞれが舞台での出来事にちゃんと反応していたので、
違和感なく拝見できました。
原作の完全コピー稽古をやると聞いて、びっくりしました!
歌舞伎は所作やセリフの抑揚も独特ですから、
体得するために相当なお稽古をされたのだと思います。
完全コピーの通し稽古をUstreamで配信したそうですね、見たかった~。
終演後のトークも、90分やってもらってもいいぐらい面白かったです。
公式サイトにアップされた木ノ下裕一さんのラジオ番組風(笑)、音声ガイダンスも聴きましたよ!