満足度★★★★★
女狐に恋をした!
女狐に恋をしてしまった!!!
冒頭、おどろおどろしい妖怪変化のシーン、
妖術を使う女狐は本当にすごみがあっておそろしく、
こんなのを2時間観させられるとは先が思いやられるなと思ったが、
氷がとけていくように次第次第にコミカルになって、笑がもれてくるうちに
後半に行くにつれていろんな愛の形がでてくる。
愛とは呪い、とはよくいったもの。
シリアスなホラーが甘味なロマンスに転じていく。
最後は、その妖術で人間をいかにでも惑わせるはずの女狐も
愛した者の心までは操れず、逆に人間に惑わされる。
弱みをみせる女狐の切ないまでのいとおしさ、狂おしさ。
こちらが女狐の妖術にかかってしまったよう。
最初のシーンで現実離れした不安と恐怖の世界へ客を誘い込んでおいて
後半のロマンスをより甘美なものにしていく展開の妙。
キャストすべてが無駄なく効いていて、
背の高い兄弟の弟役一人をとっても、とてもいい味を出していた。
こんな面白い作品、久々にみた。
それにしても、いとおしいあの女狐。
閉幕後、主演女優さんに会うことができたが、
私が愛したのは彼女ではなく、あの女狐。
ゆえにあの舞台が再演されない限り、私の恋人には二度と会えない。
いつの日か、また誰かが刀の封印を解いてくれることを願う‥