鹿鳴館 公演情報 劇団四季「鹿鳴館」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    三島由紀夫『鹿鳴館』を観た。
    三島由紀夫『鹿鳴館』を観た。これは,どのような物語なのだろう。核になるのは,男二人と,女一人の三角関係だ。子どもがひとりいるが,実の父と決別し,母の嫁ぎ先で世話になる。

    影山伯爵には,愛する妻がいる。この妻は,前の旦那であった,清原といつまでも心の絆を持っている。影山伯爵は,どうしてもそこが許せない。実際に二人の間には,子どもがいた。影山伯爵は,策謀を練って,清原殺害を企てるが,清原の子どもが,父を憎んでいたので,これを利用しようとする。しかし,結果的には,清原の子どもは,父親に返り討ちに会って死んでいく。

    このような物語が終わってみて,さて,四者は何を失ってしまったのだろうか。影山伯爵は,政敵である清原を生ける屍と化して勝利を得る。清原は,もはや,政治的な活動をする気力もない老人になる。朝子は,子どもを,さらには,愛する清原も失い,伯爵家から出ていく。久雄は,実の父親への怨執を解くこともできず,貴族社会に同化することもできず,恋人を残し他界する。

    この作品も,サルトルの『汚れた手』と似ていて,少々汚い手を使うことが,政治の王道なのだ,というメッセージがある。しかし,サルトルの方が,登場人物がみな高潔なのに比べ,三島由紀夫の『鹿鳴館』は,かなり卑劣な展開になっている。影山伯爵は,要するに何でもありの,ろくでなしなのだ。明治維新が進む中で,起こったかもしれないような事件。そこで,三島は何を本当は描きたかったのだろうか。

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    2013/06/16 21:55

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