満足度★★
紅茶と煙草
イギリスでフイッシュ&チップスの店を営んで暮らすパキスタン人の父、イギリス人の母、その間の6人(+登場しない1人)の子供達が国籍や宗教にまつわるアイデンティティーに悩む姿を描いた作品で、あまり馴染みのない文化の話ですが分かり易い物語で、下ネタやドタバタの笑いの中にシリアスな要素が垣間見えるのが興味深かったです。
前半では、イスラムの文化を高圧的に押し付ける父と、それに反発しながらも面と向かっては何も出来ない子供達がコミカルに描かれていました。
父親が勝手に決めた婚約相手の父親が訪問してくる終盤のシーンで、イギリスに移住してもイスラム的価値観に固執する両父親に対して母親とその友人が宗教ネタを用いて皮肉的に攻める様子が爽快でした。
様々なシーンで紅茶と煙草を飲んでいたのが印象的でした。
序盤の騒がしい展開と、ぎこちなさが感じられる演技の為に、物語の世界に入り込み難くく、台詞の言い方や間の取り方のピントが少し合っていなくて、もっと笑えそうな場面でも空回り感があったのが残念でした。
全員20代の出演者が子供から50代までの役を演じるのは演劇の醍醐味ではありますが、少々力不足に感じられました。
床面にイギリス的アイコンがポップに描かれた回り舞台と周りの緑色の床面の鮮やかな対比は印象的でしたが、転換の際に流れを滞らせていて、せっかくの機構を活用出来てないように思いました。
衣装やセットに70年代の感じが出ていて(リアルタイムでは経験していませんが)、良かったです。