マクベス 公演情報 東京二期会「マクベス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    上野の東京文化会館で,オペラ『マクベス』を観た。
    上野の東京文化会館で,オペラ『マクベス』を観た。このホールは,学生時代,ジャン=ピエール・ランパルのフルートを聴いたとき以来だったと思われる。今回,初めて,三階席から観劇することになる。少しめまいがして気持ち悪かった。

    正しいという字を,何度も書き加えているのが,不思議だったが,どうやら人が死ぬ度に訂正を加えていたような気がする。

    シュエークスピアの全作品は,昔NHKのBBC版でひとおとり観たことはあったが,内容はほとんど忘れている。四大悲劇も,劇場ではまったく観たことはなかった。オペラも,フィガロの結婚とか,ツーランドットとか,それがオペラだったかもしれないくらいで縁がない。

    さて,作品はきわめて斬新だった。一度だけしか観てないので,細かいことは無理である。『マクベス』は,17世紀,スコットランドの武将マクベスが,魔女の予言に誘発されて,ダンカン王を殺害し,結局は,悩み苦しみ,マクベスの息子にその座を奪われる物語であるというくらいのことを念頭にじっと見入っていた。

    岩波文庫の解説によれば,どうやら『リチャード三世』が似た作品らしい。しかし,どちらかといえば,『リチャード三世』の方が史実的であり,わかりやすい。シェークスピアの全作品で,魔女が出て来ることも珍しく,そういう点でも短い作品でありながら,とっつきにくい要素があるという。

    ダンカン王は,まぬけだ。自分の一番信頼を置いている部下に会いに来て,その城で夜襲に遭遇する。マクベスが,短剣を持ちかえると,非情冷酷な夫人は,それを取り上げ,当初の予定のとおり,王の従者の手に握らせる。この日から,マクベスは,良心の呵責に苦しむ。あげくのはてには,魔女の予言のせいだと,魔女を怨む。しかし,魔女などは,どこにもいない。最初から,マクベスは自らの卑しい野心のすがたであり,それにのみこまれて,自滅していく。

    マクベス夫人が,「私の手もあなたのように,真っ赤よ。でも,あたしの心臓は,あなたの心臓のような青白くて,やわくはないんだわ」,という。それに対し,「王であるだけでなんの意味もない。心安く王であるのでなければ,何の意味もないのだ。」とあくまで人間的である。

    たしかに,今回のオペラの演出にもあったように,殺人が殺人を呼び,王位簒奪は永久にくりかえされるだろう。そして,魔女はその人間の運命の愚かさを,あざわらうだけである。そうして見ると,壮大なオペラのすべての仕組みも良くわかる。とても良いオペラだったと思う。

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    2013/05/07 21:27

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