木の上の軍隊 公演情報 こまつ座「木の上の軍隊」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ネタばれ
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    ネタバレBOX

    【木の上の軍隊】を観劇。

    劇作家・井上ひさしが亡くなる直前まで執筆しようとした話で、それを蓬莱竜太が引き継いだ戯曲だ。

    戦時中、米軍から逃れてガジュマルの木に逃げ込んで、二年間に渡って生活していた新兵(沖縄出身)と上官の話。
    二人はガジュマルの木から、米軍の野営地を監視しながら、応援部隊を待っている。しかし底を付く食料、寒さなどが二人を襲っていく。そして新兵が米軍の食料や毛布などを拾ってきて急場を凌ごうとするが、それを許さない上官。だがそれも束の間、背に腹は代えられず、食事、嗜好品などが確実に得られる状況になり、監視という役もお座成りなっていく。
    そして終戦を迎えるのだが、それを認めない上官。更に月日が経ち、米軍の占領地がどんどん大きくなっていく。そして二人は住民の呼び掛けにより、やっとガジュマルの木から下りてきて、自身の戦争を終えるのである。

    新兵と上官が、戦時中という過酷な状況の中で、互いの関係性、価値観が刻々と変化していく様が丁寧に描かれている。新兵は上官に絶対服従しなければいけないのだが、生きていく過程なかでいとも簡単に崩れてしまう。だが寝食を共にしながらも、互いを理解する事が出来ない?しようとしない?上官と新兵。
    隣人を理解をするとは?という事が今作のテーマで、上官と新兵、内地と外地、米軍と日本と未だに基地問題が解決しない根本はそこではないか?と井上ひさしが墓場から言っているようでもあった。

    今作は、演出、俳優陣、美術と申し分ないのだが、戯曲が飛びぬけて良すぎる為に、それを超える事は出来なかったようだ。まぁ、贅沢な不満かもかもしれないが・・・・。
    今作も蓬莱竜太の閉じ込められた設定は絶好調で、【まほろば】【夜行ホテル】に続く傑作戯曲である。

    舞台で観る藤原竜也は、毎回本当に良いな。

    今作はお勧めである。


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    2013/04/29 20:28

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