期待度♪♪♪♪♪
神奈川県に演劇専用の国際劇場が少ない理由を聴きたい。
神奈川県の音楽専用ホールといえば、神奈川県立音楽堂や みなとみらいホール、ミューザ川崎などそうそう たる施設が揃う。
特にみなとみらい大ホール、ミューザ川崎シンフォニーホールは、東京フィルハーモニー、東京交響楽団、NHK交響楽団ほか、世界中の名門オーケストラ楽団が演奏用に使用し、収容人数は約2000人である。東京交響楽団はミューザ川崎を練習場所として提供することなどを盛り込んだフランチャイズ契約を、ホールの運営に携わる川崎市と締結した。
神奈川県では これほど までに音楽専用ホールの施設が整っているが、では演劇に特化し、なおかつ公共性を確保した上で大規模な劇場が あるか。
劇団四季がキャッツ上演用として横浜駅から徒歩10分の新高島地域へ造った『劇団四季•横浜キャッツシアター』は2009年の開業だった。同年、五反田の同キャッツシアターから移転された経緯がある。
そして、2011年にはKAATの略称で知られる神奈川芸術劇場が開業。大ホールの他にも、各スタジオがあり、多様な演劇ジャンルに適用する国際的な大劇場だと評判になった。世界中から舞台関係者が集まる国際舞台芸術ミーティングの主会場としても利用された。
以上、2つの大型劇場を紹介した。しかし、キャッツシアターは劇団四季という団体のレパートリーを上演するための施設に過ぎない。公共性の観点から考えると、神奈川芸術劇場が 大型にして公共性のある演劇専用の劇場とカウントすることができるだろう。
神奈川県には神奈川県民ホール、鎌倉芸術劇場、横須賀芸術劇場、他にも各公会堂やホールが数え切れないほどある。一つの自治体に複数の公共ホールがあり、その点では日本有数のホール県だ。
だが、劇作家で鳩山首相(当時)の施政方針演説を書いた一人である平田オリザ氏は著書の中で、「地方に行くと公共劇場が たくさんあるが、コンサートや講演など多目的に使えるホールである場合が ほとんどだ。公共劇場と公共ホールは違う」という趣旨を述べている。
演劇専用の劇場、公共性があり、しかも2000人程度収容の国際的空間、これ以外を除くと、残るのは2011年に完成した神奈川芸術劇場だけである。
神奈川県民は2011年以前、「劇場」なるものを持っていなかった。
相鉄本多劇場が一部、その役割を担い、神奈川県立青少年センターが大型公演の場を与えた。
東京近郊の埼玉県は どうであったか。
彩の国さいたま芸術劇場が開業したのは1994年のことだった。
なぜ、埼玉県では20年前に県主導で演劇専用の国際的劇場が造られたに、神奈川県は つい2年前まで 存在しなかったのか。
これを説明できる役人はいるだろうか。
人口や経済規模だけが全てではない。
北海道の夕張市のような弱小自治体でも、『ゆうばりファンタスティック 映画祭』を開催し、全国から映画ファンを集めることが可能だ。
だが、これほどの規模を持つ行政区域でありながら、県主導で演劇専用の劇場を造らなかったのは やはり理解できない。イギリスのグローブ座は、政府が財政拠出した上で再建作業を進めた。
国、地方自治体、準ずる財団が公共劇場の財政を負担するのは先進国、発展途上国 関係なく みな共通だ。
それなのに、神奈川県内に最近の2011年まで演劇専用の国際的な劇場がなかった事実を噛み締めよう。