ズズー夫人の恋人 公演情報 艶∞ポリス「 ズズー夫人の恋人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    祝!プレ旗揚げ公演
    最近は、脚本・演出と創作活動にも意欲を見せている女優・岸本鮎佳が
    主宰する劇団ユニット「艶ポリス」のプレ旗揚げ公演。
    官能小説朗読劇と言うことで、友人でもある岸本女史の恥ずかしい声を
    聞かせられるのは苦痛かも?と思いつつ、観劇したが朗読劇を
    交えたお芝居であった。

    昔のバイト仲間であった妙齢女性3人の女子会の光景から始まり、
    それぞれの見栄の張り合いから妄想と現実を含めた与太話を寸劇で
    披露していくと言う展開で観ている者を飽きさせない構成になっていた。

    ストーリーはテンポも良く、初めての人にも分かりやすい
    オムニバス形式となっており、多くの人が笑える「下ネタ」と言う
    エッセンスをよく引き出していた。
    岸本女史に言わせれば、「下ネタ」でなく「艶」だと一喝されそうだが
    (笑)。
    他にも、ヒキ笑いのリアクションや店員などへのキレ芸などの笑いを
    引き出すネタを散りばめて、プレ旗揚げ公演の内容としては十分に
    満足できるものだった。
    「下ネタ」に抵抗が無ければ、今回の公演を観た人のほとんどが、
    次回の公演を楽しみにしてくれることだろう。

    ただ、岸本女史の才能を知るだけに、更に期待値は膨らむ。
    今回はコメディよりもほぼコントに近い内容になっているが、
    彼女の脚色の最大の魅力はセリフのやり取りで観客をニヤリとさせ、
    思わぬ笑いのツボに導くところにある。今回の劇中でも笑いを
    掴んでいたのは「下ネタ」そのものよりも、
    「毒」のある会話の巧妙さであったり、日常風景のコミカルな解釈で
    あったりと、岸本女史が生み出す創作物の魅力の片鱗を垣間見せていた。

    岸本女史の人間の言動に対する観察眼の鋭さと主観客観入り乱れた
    彼女独自の解釈こそが、彼女の放つ「毒」の根源である。

    岸本女史の持つ「毒」は一撃必殺の劇薬ではなく、
    甘さの中にピリッと苦味を感じさせ徐々に浸食される
    遅行性の「毒」であり、多くの観客はその甘美さに魅了されるはずで
    ある。
    そこに劇団ユニット名よろしく「艶」を加味するのであれば、
    直球の「下ネタ」でなく、オトナの男女の会話やピロートークと
    言った第三者が聞くと恥ずかしい言動を彼女の持つ「毒」で
    犯して欲しいと思った。

    豊かな色と書いて「艶」。
    今後は「艶めかしい」とも言えるちょっとキワドイ話を
    岸本女史独特の観点で創作していくのだろうか。
    岸本女史がどんな豊かな「色」を描いてくるのか、
    また一つ、将来が楽しみな劇団ユニットが産声をあげた。

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    2013/04/25 22:47

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