期待度♪♪♪♪♪
経済だけではない、出生の問題
2007年、九州地方の とある大病院で実施された、「赤ちゃん ポスト」
ヨーロッパなどの先進国で、運用されてきた経緯があり、捨て子による死亡を減らすための措置だった。
国連で長く勤務した池上•日大教授の話を毎週、聴く機会(ディスカッション)があったが、捨て子の原因は ほとんどが貧困だ という。
妊娠の検診には数万円の診察代が発生する。後に国から診察代の全額が還付されるが、それは、例えば女子高生にとってみれば重い負担だろう。親には言えない。
当初、匿名性を掲げてきた病院であったものの、病院関係者の会議の中で多くのケースにおいてポストに捨てた母親の身元が判明していることが明らかにされた。意図的に調査しなければ、身元が判明するはずがない。
「ポスト」を提案した院長は、「それでは意味がない!母親が躊躇して来れなくなったら どうするのか!」と職員に対し激怒した。
『ワンツーワークス』のインタビュー形式による再現舞台より。
そののち病院では、専用の窓口を設け、母親のケアに重点を置く。
安易に赤ちゃんをポストへ預けることを思いとどまらせる役割も担う。
「子どもを捨てることを助長する」という一部世論の批判は的外ではないか。
だが一方で、捨て子という犯罪行為について同情する世論も誤りだ。
未成年者を含むソーシャルセキュリティを強化し、若い世代の家庭教育を 果たす。
そして、伝統的な家族共同体の価値観より、むしろフランスにみられる個人主義的な脱家族観に移行すべきなのだという議論も成立する。
日本における捨て子は、貧困+伝統的な出生観が絡まっているからである。両家に認められ結婚した夫婦が、子供をコンクリートの道端に捨てるだろうか。単に捨てる母親だけの問題ではなく(それ自体、とんでもない行為ではあるが)、社会そのものの歴史性に基づいていると考える。