月の剥がれる 公演情報 アマヤドリ「月の剥がれる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    心つかまれる一瞬を逃してしまった
    プレビュー翌日の初日に拝見しました。
    作家に言いたいことが沢山あるのだろうと思い、必死でメッセージを探したけれど、一番の核心部分を探り切れなかった…そういう気持ちが残りました。
    観る日によって振幅が大きく出る作品なのかもしれないと思いました。
    出演者の人数が多いので、本番の舞台上で役者さんを動かしてみてわかることもありそうです。
    初日の幕が開いてからどんどんと変化していくのは演劇の醍醐味で、映画やテレビではありえません。
    いま作って、1日ごとに進歩するのは、演劇が生きている証拠であり、武器のひとつだと思います。

    世界観のあるチラシが目を引きました。ただ、長文の文字が小さく、色も薄くて読みづらかったです。
    ずっと同じデザイナーさんが作っているんですね。
    こんなチラシ文化は演劇ならではですし、効果的に使っていると思いました。

    ネタバレBOX

    武力ではなく怒りを放棄した未来の日本が舞台でした。
    憲法第9条の引用もあり、作家は今の日本の不甲斐なさを腹立たしく思っているのかしらと想像しました。
    たしかに「怒らない技術」といった題名の本がベストセラーになっていますね。
    怒りは感情の発火点だったり、行動の起爆剤になったりします。
    愛よりも怒りの方が、立ち上がるエネルギーが強い場合もあると思います。
    でもそれを自ら放棄した日本人は、果たして進化したのか退化したのか…強い問題意識を感じました。

    散華(サンゲ)という集団と、それについて学習する未来の学校との入れ子になっていて、まだ生まれていない人物も登場させていました。
    「“おはよう”が“キル・ユー”だったりする日常」「悪夢から覚めたらまた悪夢」といったセリフがあり、
    構造が複雑で、唐突に時空を越えることから、テレンス・マリック監督の映画「ツリー・オブ・ライフ」を思い浮かべました。
    父と息子の確執が軸なのですが、突然場面が大昔に変わって恐竜が登場したりするんです。
    この人にしか作れない、圧倒的な美しさのある作品に出会った時、私は「これは詩だ」と思います。
    広田淳一さんの詩に、かすかに触れられたのかもしれません。

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    2013/03/16 14:40

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