「隠し剣鬼ノ爪」「盲目剣谺返し」 公演情報 演劇集団キャラメルボックス「「隠し剣鬼ノ爪」「盲目剣谺返し」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ほぼ前説+2つの60分作品
    作品の時代的には、谺返し→鬼の爪だけど、自分が見た日は鬼の爪→谺返しの順。原作小説の世界観が見事に一時間弱の舞台作に収まっていた。
    華美なセットはないけど、役者の上手さにより、登場人物の繊細な心の動きや殺陣で見ている側の想像力を深く刺激していたと思う。
    二作品、異なる役で出ていた役者陣も善人、悪人の切り替えが見事。
    どちらも良い舞台だった。

    ネタバレBOX

    隠し剣鬼の爪
    道場主から秘剣を伝授されている主人公、片桐。
    御前試合で敗者にしてしまったかつての仲間、狭間。
    上役を斬って山奥に幽閉されるもそこで人質を取り立てこもる。片桐と対決したいが為の行動に驚き悩むも対決を決意する。
    片桐家の女中・さえとの微笑ましく見える光景や、知己の恩師友人との関係、狭間の妻の夫へのけなげな思慕が美しい。
    性悪武士への秘剣場面の見せ方も見事だった。

    盲目剣谺返し
    お毒味役の武士・三村、毒にあたり盲目となるも、妻の加世や下男の爺や徳平に支えられながら立ち直ろうとする。ある時、妻の行動に不信感を覚えた三村が徳平を遣い行動を探らせると、自分の権力を嵩に妻を良いように扱っている上士の存在を知る。
    復讐心より武士としての誇り、口に出さず胸に秘めたまま妻への想いを抱いているような雰囲気を醸し出していた大内さんが役柄に合っていた。その妻、加世さんの内面からの綺麗さが伝わり、物語に合った清楚な和風美女で素敵だった。
    静の主人公夫婦と対比するかの様な、山崎夫婦(特に妻)の登場場面は舞台に花が開く様に明るい。上手いわ、笑えるわで、流石の貫禄。
    それに肩を並べる位良かったのが爺や徳平。主人の言動や行動にオロオロ心配したり、爺やの仕草の一挙手一投足がどこか可愛くもあった。
    上士島村のヒールっぷりも迫力あり。
    最後の決闘場面、動きの限られた舞台上での殺陣は、自分の座席から姿が見切れて見えてしまい、ドリフだったら「三村さーん、うしろうしろー!」って声が聞かれるような見切れ方は致し方なかったけど。
    最後の場面まで気が抜けなかったが、素敵な幕切れにまたホロッとさせられる。
    最近では、言葉遣いや所作や衣装等、ちゃんとした時代劇に接する機会が少なくなり淋しいが、この二作品は幅広い年代に受け入れやすい作品ではないかな、と思う。

    上演前にほぼ前説として、和装でビシっと決めた西川浩幸さんと劇団員の方が登壇していた。西川さんが観客の前で舞台に立つ事が特効薬となるのなら、こちらも頑張ってその薬になりたいと思う。でも、あまり無理はしないでほしいが。

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    2013/03/11 02:52

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