月の剥がれる 公演情報 アマヤドリ「月の剥がれる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    世界との対峙
    物語世界の無限の広がりを感じる素晴らしい劇空間でした。一つの集団(思想)の始まり~終わり、過去現在未来、死生観みたいなものがない交ぜとなって、でも実感としてはもう終わっちゃうのってくらい見惚れてしまいます。あっと言う間だった。要所に盛り込まれた30名近い俳優の群舞は、何か自分が丸ごと吸い込まれていくような圧倒的な力がある。公演チラシの言葉を何度も読みながら、正しさって何だろうと考えました。

    ネタバレBOX

    散華(さんげ)の思想は、何だか引き込まれてしまうような魅力がある。自分の国の軍隊が人を殺した数だけ、散花のメンバーも同じ数自決する。自分の命を懸けた脅迫だ。自己責任って言葉が流行る日本人の思考にぴったり合うのかもしれない。「平和とか世界とかそのどうしようもなく大きくて抽象的な問題にどうやって向き合ったらいいのか。」、極端だけどそうした思いへの1つの答えに見えてくるから不思議だ。散花の失敗を教訓に未来の人達がたどり着く、「平和や統制のために怒る事を放棄する」という発想も、極端で悪夢のように見える。じゃあ、一体何が正しいのか。

    劇の冒頭、暗闇の中で無から音や生命が生まれる。人類は進化しそして未来へとつながっていく。散花が生まれ、終わり、未来が提示される。そしてクライマックスで時計が反転して元の無にまでさかのぼっていく。どこまで遡ってやり直したら、僕たちはうまくいくのかと思ってしまう。高望みしなければ便利で快適で平和な日常。でも、退屈で空虚でそして危うい。貧困・格差・原発・戦争。自分の日常がある日突然、悪夢に変わるかもしれない危うさ。そんな時代に生きているように思う。それでも「おはよう」って目覚めるんだなぁと思うと、嬉しいのか苦しいのかわからないなぁ。

    物語はわかりやすく深い。言葉も刺さるけれど、群舞のような俳優さん達の動きが本当に美しくて力強くて圧倒されました。

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    2013/03/05 20:49

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  • ご指摘ありがとうございます。完全に勘違いしていました。散花→散華、修正します。

    2013/03/06 22:41

    散華、ですね。

    2013/03/06 01:43

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