満足度★★★★★
優しい横田さんの作品
CLEOさんへのお気に入りコメントにも書いてある通り、大変に優しいお話でした。
と言いますか、私は以前から作・演出の横田さんの作品が大好きで、彼の作品は本当に優しいお話だと思っています。
勿論それは言葉通りの世界という意味ではなく、時には厳しく現実を突きつけてくる場合も多く、辛らつな表現もあるのですが、その根底にあるものが人間としての優しさだと感じています。
この作品もそうでした。
上っ面の意味での「優しい」ではなく…それでもあたたかい、一人の女性の成長物語でもある群像劇でした。
ただ群像劇である為に、複雑なパーツが絡み合いつつも其々に独立している手法ですので、それが苦手な方には辛い部分もあったかも知れません。
個人的には、とても好きな作品です。
盛りだくさんの内容でありつつも個々のシーンが魅力的で楽しめた事、キャラクターが皆個性的で魅力的だった事、謎の“彼”の存在(進行役ではありませんが、狂言回し的ポジションなのでしょう)の面白さ等を通し、人が周囲との関係の中で成長していく日常をみせていただきました。
この中で大きな事件が起こる訳ではありません。
あえて言うなら、登場人物達にとっては何気ない日常の話です。
だからこそ揉め事も起こります。
でもそれは観客である自分達にとっても同じ事で、そういった日々の積み重ねの中で、大切な事に気付いたり、何か成長するきっかけをもらったりするのではないでしょうか。
大人の物語をみせていただきました、ありがとうございました。