熱海殺人事件3部作 公演情報 ★☆北区AKT STAGE「熱海殺人事件3部作」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ネタばれではないが・・・
    兎に角、杉山圭一にはブラボーだな!

    ネタバレBOX

    北区アクトステージ(北区つかこうへい劇団)の【熱海殺人事件・モンテカルロイリュージョン】を観劇。

    様々な熱海殺人事件のバージョンがある中、これが一番の傑作を言われている作品であり、俳優・阿部寛さんのモンテとも言われている作品でもある。僕もかなりのバージョンを観たが、やはりモンテカルロイリュージョンが一番の傑作だ。

    警視庁・部長刑事・木村伝平衛が、愛人・水野刑事と山形から着任してきたばかりの速水刑事と共に、山口アイ子殺人事件の容疑者・大山金太郎を一流の殺人犯に塗り替えていくというのが原型の物語である。その大山金太郎を一流犯に仕立てて行く物語と並行して、木村伝平衛がバイセクシャルで、オリンピック代表の棒高跳びの選手時代に起こした殺人事件の真相と迫りくる時効時間、その木村伝平衛に殺された兄の復讐を誓って近づいてきた速水刑事、愛人・水野刑事との愛欲の日々、オリンピック選手の補欠だった大山金太郎と山口アイ子の長崎県・五島での恋愛関係が複雑に絡みあって、言葉の連射攻撃、派手な音響、マイクパフォーマンスと踊りで一瞬の隙も許さず進行していく。
    物語を詳細に説明していくと膨大になってしまうので割愛するが、大山金太郎を一流犯に仕立てるという物語を背景に、オリンピック選手の光と影、都会と地方の貧困の差、人間の残酷性などが本作のテーマになっている。
    物語を綿密な二重構造で展開していくので、演劇初心者は、物語を追っていくだけで精一杯かもしれないが、観て行くうちに誰もがすんなりこの世界に入り込ませてくれる楽しさが熱海シリーズの面白さであり、その中に一旦入ってしまった観客は、誰もが持っている己の愛と残酷性を認識し、実感し、体感しながらも、震えながら涙してしまうのだ。そしてつかこうへい演劇に熱狂して、他作も観てしまう?という処に落とし込まれるのである。

    兎に角、口立てで作られた戯曲の完成度は高く、この戯曲は阿部寛さんとの共作?とも思えるほど、誰もが阿部寛さんの幻影が見えてしまうほどの舞台だ。だが、今作の杉山圭一も負けずとおとらず、己自身の木村伝平衛を演じていたのは立派だ。杉山圭一にはブラボーと言いたいくらいだ!

    誰もが一度は見なければいけない舞台であり、読まなければいけない戯曲でもある。

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    2013/01/13 17:33

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