満足度★★★
面白くはあるけれど…
演ずる者と見る者とがかならずしも同じ場所にはおらず、その出会いはあくまでも偶然にのみ任せられる、というスタイル、つまり演出家のいう「経験の裂け目」から生まれるものを重視しているというけれど、でもこの作品の意図するものとは何となく「ずれ」を感じざるを得なかった。
やはりそこにじっと居て、麺をすすり、昔を懐かしみ、老いた身体にある女の残滓のようなものをいたわりながら生きている、そういう小町をじっと見ていたい、と私は思うし、結局そうした。
他の場で何が起きていようとも、とりあえず『一人の小町』の姿だけを追っていたいと思ったのだった。