ゴリラと最終バス 公演情報 ぬいぐるみハンター「ゴリラと最終バス 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演出とキャラとゴリラ
    オープニングからおーっと思わせる池亀三太さんの演出が面白い。
    バカバカしいけど真実、真実だけどありえな~い!
    きゃーきゃー言ってる合間に点在するきらっと光る台詞。
    ベタな家族愛の話なのに、ナイーブな台詞と力のある役者によって
    ファンタジーワールドがぐんと広がる。
    “ゆるみ”のないコメディの中で、ゴリラの腹がぷよんぷよんと揺れる。

    ネタバレBOX

    何にもない舞台、奥の壁はゆるい半円を描いている。
    出ハケはどこからするのかしらと思いながら開演を待っていたが
    短い暗転の直後、いきなり10数人が舞台上に登場していてびっくりした。
    どこから出てきたのかと思ったら、半円の壁のように見えていたのは
    幅広のゴム(?)で、そこを割って出入りしていたのだった。
    この演出で、終始スピーディーな場面転換が可能になっている。

    ストーリーを追うよりはキャラの面白さが目を引く。
    話の中心となる家族の小学生清盛(松下幸史)とその妹円(浅利ねこ)、
    彼らの母茜(片桐はづき)、その姉(神戸アキコ)、
    清盛の同級生蛾次郎(北尾亘)、
    そしてゴリラ(ぎたろー)ら“はみ出た”人々が超個性豊かで可笑しい。

    「んなこと面と向かって言えるかよ!」という“照れ”と“自意識”。
    内面深く沈めるか、大音響でがなりたてるか、両極端の自己主張。
    現代人のコミュニケーションの不器用さを体現する登場人物たちが
    時折はっとするような台詞を言うので、ますます魅力的に感じられる。
    ラスト近く、茜と姉がしんみり話すところなどそれまでの落差もあってとても効果的だった。

    キレの良いダンス(振り付け北尾亘)にインパクトがあって、2時間を飽きさせない。
    ゴリラが回転したのにはマジで驚いた。
    ちなみに私は最初、ゴリラは2頭出て来るのかと思ってしまった。
    だって五郎の勤め先の小結(橋口克哉)とゴリラ、巨漢で双璧をなしているんだもん。
    “太刀持ち露払い”でセットだと思うじゃない?

    全体がもうちょっと短くても良かったような気もする。
    初見の私にはわからないファンサービスがあったのかなとも思うけど
    一つひとつのエピソードがもう少しすっきりしたらテンポが上がって
    疾走感がリアルになったのではないか。

    力のある役者さんが全力で走る、その振り切れたエネルギーが
    観ている私たちに伝わって来て体温が上がる。
    それにしてもゴリラ、君はいい奴だなあ。
    久しぶりにゴーゴーカレーが食べたくなったわよ。

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    2013/01/08 02:47

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