満足度★★★★★
豊かな詩的イマージュの中に酔う不可解な論理によって連鎖する物語の断片に混乱してしまう.観客は手探りでそのピースを組み立てて行かなければならない.その作業がそれほど苦にならないのは,舞台上で響く言葉が作り出すイメージが恐ろしく美しいものであるからだ.近いものが遠くにあり,遠いものが近くにある,心理的・地理的なこうした距離感覚の混乱を自覚し,自己存在に不安を感じることがある人は少なくないはずだ.そうしたときの惑いの曖昧さが詩的に演劇的に再現された美しい作品だった.
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2008/03/29 04:37
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