ゴジラ 公演情報 雀組ホエールズ「ゴジラ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    やっぱりゴジラじゃだめなのか?
    離れて見るとますます素敵なフライヤーも魅力的な「ゴジラ」。
    あり得ない話にどんどん客の心を惹き込むのは、主演の迷いのなさ。
    世間知らずでピュアなお嬢さんの一途な思いがゴジラに火を吹かせる。
    それにしても、恋をするなら「ヒト」でなくてはダメなのか?

    ネタバレBOX

    畳敷きの部屋に丸いちゃぶ台。
    この家の三姉妹のうち、長女のやよいがカレシを連れて来たからさあ大変。
    何と言ってもカレシはゴジラだし、身長50メートルで火なんか吹くし。
    反対する家族を説得しようと奮闘するやよい。
    ついにゴジラはウルトラマンに変身したやよいの許嫁ハヤタ(阪本浩之)との対決に及ぶ。
    そして思いがけない決断をするのだった・・・。

    劇団離風霊船 大橋泰彦さんの荒唐無稽な作品には
    「愛ってなに?」という普遍的な問いと同時に
    「それでもあなたは愛せるか」という障害を前にした者に対する問いかけがある。
    この場合障害が「あまりにも大きい」ので、のっけからコメディになるのだが
    冒頭から“夢見る夢子”の如きのやよい(棚橋幸代)の台詞にブレや迷いが一切無いので
    一直線の純愛のスタートと同時に客も一緒に走り出す感じ。
    当日パンフにある通り、ゴジラの大きさは観客の想像力に委ねられている。
    そこにゴジラ(持永雄恵)のなりきりぶりと効果音のタイミングがあいまって
    千本桜のゴジラは一気に50メートルの怪獣と化した。

    円谷英二の登場や配給会社絡みのネタも楽しいが
    円谷英二のゴジラに向ける親心にはほろりとさせられる。
    ザ・ピーナツの「♪モスラ~」の歌とダンスも懐かしくとても良かった。
    当日パンフの「みんなの怪獣大ずかん」も
    教室でジャミラとかピグモンの物真似をした世代としては大変嬉しい。

    ひとり山へ戻る決心をしたゴジラの悲痛な気持ちが伝わってきただけに
    見送るやよいにもっと混乱と絶望感があったら、さらに泣かせただろうという気がする。
    それがラスト、島から避難する途中やよいがひとりの青年(持永雄恵)と出会った時
    再び心に火が灯る場面につながって幸せな気持ちが倍増するから。
    ちょっと気になったのは畳の部屋に靴をはいて登場するシーンがけっこうあったこと。
    演出上仕方がないのかな?と思った。

    やっぱり「ゴジラ」じゃダメなのか?
    人は人しか愛せないのか?
    確かに「ゴジラは痛みを感じない」「ヒトは痛みを感じる」
    けれど人間だって他人の痛みは所詮想像力でしか感じられない。
    去って行く50メートルの背中に私は呼びかけたくなった。

    「ゴジラよ、そこらへんの小さい男なんかより
    あなたの方がずっと人を幸せにする」

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    2012/12/19 18:25

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  • 観劇ありがとうございました。
    そして丁寧なコメントに感謝、感謝でございます。
    大橋さんの本との対峙は本当に楽しい時間でした。
    そして観客としてご参加いただいたうさぎライターさんに
    しっかりと伝えられていたことに正直安堵しております。
    次回作はもっともっと精進して参りますので、
    是非また足を運んでいただけると大変嬉しいです。
    ありがとうございました。

    2012/12/21 00:47

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