行方不明 公演情報 ブラジル「行方不明」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ブラジルっぽい、ハードボイルドなタッチ
    キレのいい演出と台詞の応酬が気持ちいい。
    ちょっとしたシカケで、物語の展開をサポートする。

    ネタバレBOX

    一体、何が起こったのか? という行方不明の友人を、ツイていない男が探すことになっていく。彼のツイてなさがなかなかハードで、人を、そして真実を追っていく姿がまさにハードボイルド。

    主人公演じる櫻井智也さんのように、ふてくされたようになるのもよくわかる。
    少しささくれ立った主人公の心情とともに友人捜しの旅が始まる。
    櫻井智也さんオンステージ的な印象も強い。

    とにかく、ストーリーに引き込まれ、キレのいい演出と台詞の応酬が気持ちいい。
    サクサク行くというか、観客の心のスピードに見事にマッチしていると言っていいだろう。
    また、そうした気持ちをうまくいなしたり、かわしたりするあたりも憎い。

    劇中、主人公とかかわってくる人たちが、「どこか似ている人」という設定で、2役ずつ演じているのだが、これは単に役者の数ではなく、夢、それも悪夢のような様相となっていくことで、ダークで、現実離れしている物語の展開をうまくサポートするシカケだ、と言っていいだろう。

    「現実なのか?」「幻なのか?」という、主人公の混乱と、混沌たる地獄に墜ちていくことへの道しるべでもあろう。
    この違和感は観客にも起こることで、展開への布石として成功したと言っていいと思う。

    物語の展開は、ダーク。
    それもモダンホラーというよりは、土の匂いがあり、どこか因縁めいていて、寓話のようでもあり、都市伝説のようでもある。
    そして、それは恐いというよりは美しい。

    土中に引き込まれる手際の怖さ。
    友人が一緒に暮らす女性の佇まい。
    スピード感が見事。
    その女性を演じる幸田尚子さんの静かで冷たい鋭利な佇まいが目を惹く。

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    2012/12/19 07:21

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