ベジャールの「くるみ割り人形」 公演情報 公益財団法人日本舞台芸術振興会「ベジャールの「くるみ割り人形」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    MとB
    クララがお菓子の国に行くという物語ではなく、少年が夢の中で亡くなった母親に会うという物語に置き換えた、ベジャールの自伝的要素が強い演出で、愛情とユーモアに満ちた作品でした。

    ベジャールがたどたどしい日本語で自らの少年時代を語る映像が流れ、それと関連したシーンが踊られる形で進行し、オリジナルのプティパ版とは異なるストーリーながら、所々でプティパ版と対応しているのが楽しく、プティパ版よりも物語や動きがチャイコフスキーの音楽と合っている箇所もありました。
    第2幕の世界各国の踊りの場面ではスペインの踊りでは牛の頭の作り物、中国の踊りでは自転車と共に踊っていてユーモラスでした。原曲ではフランスの踊りがないからと、ミュゼットを流して踊るのが洒落ていました。
    クライマックスのグラン・パ・ド・ドゥは敢えてプティパ版の振付で踊りますとのアナウンスがあり、伝統に対しての敬意が感じられました。

    モーリス・ベジャールのイニシャルである「M」あるいは「B」を頭文字に持つ、マウリス・プティパ、メフィスト、母(Mère)、バレエ、美(Beauté)に対する愛情が感じられ、特にドラマチックな表現をしているわけではないのに深く心を打ちました。
    有名な花のワルツの場面では黒スーツ姿の男性達が白いバラを持って母の周りで踊り、母の死(Mort)を象徴していたのが印象に残りました。

    ベジャールらしい力強さを感じる動きとコミカルな動きの対比が鮮やかでした。「M…」役を踊った木村和夫さんの存在感と技術が素晴らしかったです。
    回転する巨大な聖母像や、ドラァグクイーンやショーガールのようなキラキラ輝く衣装等、インパクトのあるビジュアルが素敵でした。

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    2012/12/16 23:54

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