生きちゃってどうすんだ 公演情報 大人計画「生きちゃってどうすんだ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    まだ通過点
    場内満席、番号一桁台の観客はなるべく早めに入場した方が良い。
    終了後に退場するのも一苦労だったけど。
    ある人物の百年史をまだ半分の年齢の松尾さんが身体張って、演じきる。
    近未来の様な出来事と一緒に暮らしている現在、最後まで走り続ける松尾さんの姿に少し感涙。存分に楽しませてもらったし、いたるところで、松尾さんと劇団員の関係の深さが見えた。
    面白かったけど、最後は突き刺さるような感傷も生まれ、松尾さんの舞台を見たんだな〜と実感。
    松尾さんの公演パンフの演劇史≠自分の観劇史、ちょっと重ね併せたりして。

    ネタバレBOX

    ヒゲのない松尾さんを久しぶりに見たような気がする。
    誰かに似ている有名シャンソン歌手?アドリエンヌ林田のリサイタル場面から始まるが、彼(女)の転機を与えたスズちゃんという人物を軸に百年の人生史が六話構成で展開していく。失踪を追跡するのは観客側。

    大正元年、広島生まれの美少年、角田鈴乃介ことスズちゃん。
    性別を越え誰もが惑わされる存在に成長するも、太平洋戦争時には戦地へ招集、そこで美貌が仇になり部隊の兵隊は全滅させてしまい、仕方なく日本に引き上げるも、実家の家族はどういう訳か奇病で全滅。そして原爆投下、広島で被爆の後、疎開した長崎でも再度被爆。終戦後は東京へ上京、コメディアン、ゲイバーでそこそこ人気が出た後、失踪して名前や姿をかえてベレー帽で顔を隠した漫画家や歌手や宝塚の女優になったり。

    電車で痴漢にされて鉄道事務所の駅員さんと対峙する事になった男。
    色々説明するが、すればする程ドツボにハマる。なぜなら自分はゲイで駅員さんが美男子で好みのタイプだったから。元は大学教授だったのに今は家賃3万の共同住宅住まい、あることで執行猶予中、優しい大家さんに今回の事がばれたら困る〜!と紆余曲折あるものの、最終的に釈放されるが‥。男はある時期スズちゃんとあった事があるらしいが、真相までは辿り着けず。

    ゾンビエキストラからゾンビコーディネーターと職業変遷はあったもののゾンビ映画の撮影現場でまだ現役で働く50歳の男、その模様をドキュメント番組が追っかけている、ナレーターは星野源氏。
    撮影監督のダメだしが入った為、ゾンビエキストラ(大人計画の劇団員総出演)を束ねて映像をチェック、それぞれでダメだしをするが、そこはもう劇団員への的確なコメントばかりで笑いました。一通りチェック終った後、撮影が再開されるがそこへ♪スリラーの着メロが。20歳近く離れたゾンビエキストラだった一人、トヨザキユミと結婚した男。妻が産気ついたとの連絡が入り、その直後に女の子が生まれる。名前を存在が美しい女の子=存美(アリミ)と名付け、撮影に戻る。そして子供を食べさせる為に、現場では生まれたての赤ん坊(小道具)をモリモリ食べるが、ゾンビに見せる為の小技テクニックが邪魔をしてNGを出したりして。そんな男がゾンビ役の演技研究の為、以前訪れた場所が老人ホーム。そこにスズちゃんがいたらしいが、またしても行方知れず。

    横浜本気話相談所=ヨコハマホンキートンク相談所
    桑○正博か原田○雄風の頭から角を生やした男に相談する、地下アイドル「肉汁の〜〜(名前失念)」吹き替えは宮崎吐夢氏、姿は四角いbox?歌の内容が宮崎氏の歌に通じる物が‥w そのやり取りで彼女は相談所の男の祖父のネタを知っていた事が判明。角田家の家系は身体全身から角が生え、自らを刺してしまう奇病持ちと分るが、祖父だけはなぜか角が生えず、老人ホームから失踪したままという。やがて相談所の男も死亡。舞台は実家へ。

    福島の長閑な村で出会った自転車の警官、警官かと思いきやコスプレしてただけだった。自転車も白く改造、後ろの箱もお手製だが中身は青年誌の漫画やらなぜか女性下着が。その男は気がついたら50歳になってた元引きこもり、スズちゃんが老人ホームを出た後にスズちゃん家にいたらしいと分るがちょっと言動がうさん臭い。三月の震災で警察官の父親が亡くなり震災のガレキの中から父親の形見の拳銃を見つけたので、意志を継ぎ警官になる事にした、と言うがどうも年齢の計算が合わない、そんな中どこからともなく警官の拳銃殺害事件の一報が聞こえてくる。

    角田鈴乃介、80歳の時、孫娘「亜樹」(久しぶりの新井亜樹さん!)が生命保険の2000万円で老人ホームを20年契約していた。後に孫娘も奇病が原因で死亡する。それを元手に入居していた老人ホームも、スズちゃんが20年経過しても元気だったので100歳を機にそこを追い出される。そういうわけで行き場もなく辿り着いた先で自殺を図ろうとした矢先、東日本大震災が発生。津波に呑まれるも、誰もいない土地だったが原子力を誇示するスローガンが掲げられているような場所になんとか漂着。誰もいないのでガレキをかき集めスペースを確保してなんとか生きていた。そんなスズちゃんを防護服姿の某氏がようやく発見し、孫の亜樹からのビデオメッセージ見せてもらう。内容はスズちゃんの身体の不思議からその当時のお笑いについてと辛辣なのに、それを見たスズちゃんは気力を振り絞り、裸一貫でコメディアンとしての動きをし始める。20年前の事なのに映像は劣化しつつも記憶は色褪せてない。そこへ大爆音が襲うが、その中を激走するスズちゃんの姿で〆。
    最後の激走場面はどこか松尾さんの踏ん張りにも見え、ちょっと泣きそうになった。

    どこを斬っても松尾さん100%の全力舞台を満喫させてもらいました。
    面白かった!けれど、震災関連は、未だに心の何処かにくすんだ存在なので、見ていて気が重くもあり。
    今後も松尾さんの思う生き方を貫いてほしい。

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    2012/12/14 03:17

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