満足度★★★★
クリスティの戯曲をもっと!
'09年「蜘蛛の巣」、'10年「検察側の証人」に続く、
浅丘ルリ子主演、アガサ・クリスティー原作シリーズ第3弾!
ミステリー戯曲もしくは推理小説を原作とした舞台作品は、
大好きなのに、少ないので貴重です!
本作は、アガサ・クリスティ作品の決定打!
濃い霧の深夜。
男は、車が溝に落ち立ち往生し、助けを求め近くの屋敷に立ち寄ると、
男が拳銃で頭を撃ち抜き死んでいた!
傍らにはその美人の妻が立ちすくんでいた…。
登場人物一人ひとりの証言が示す真犯人が、次々に変わっていき、
意外なクライマックスに!そしてラストに驚きの真相が用意されている、
ちょっとした発想の転換が見事なストーリー。
面白かった!
海外ミステリー、特にクリスティ作品の、貴婦人役には、演技以前、
その佇まい、存在感が「別格」である、浅丘ルリ子嬢が良く似合う。
これは、彼女の義母役の安奈淳と実際の年齢を比べるとどうかと思うけれども、
そんな年齢的なものを超越している。
(ちなみに、最後のセリフで、まるで歌舞伎のように「アサオカ!」と
大向こうから声がかかった。海外戯曲なのに、風情があっていい。)
他の共演者も芸達者。
金田一では探偵役の、古谷一行は普通ならヒロインを助けるヒーローの立場だが…。
今回は少し出番が少ない石井一孝は出ただけで本人の、「他作品でのイメージ」
やスタイルのダンディさが、本作では物言わぬ要素として生きている。
警部役をスマートで堂々とストレートに演じる川﨑麻世、
その部下を飄々とコミカルに演じる名脇役の不破万作、
スリーアミーゴス役でのヒヒヒ笑いもサービスで披露する斉藤暁の小悪党ぶり、
など、登場人物の面白さもクリスティ作品ならではの見ものです。
海外ミステリー戯曲、推理劇の舞台をもっと上演して!