アミール・レザ・コヘスタニ [イラン]『1月8日、君はどこにいたのか?』 公演情報 フェスティバル/トーキョー実行委員会「アミール・レザ・コヘスタニ [イラン]『1月8日、君はどこにいたのか?』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    洗練と検閲
    何より、素晴らしく洗練された舞台だった。

    11/4追記
    アミール氏はシーラーズの出身だったのか・・。
    それでハーフィズの話が講義で出てきたんだと、最後になって納得(笑
    シーラーズはサァディーの出身地でもあるし。
    どんな所なんだろうか・・(19世紀の旅行記じゃたいしたことないところみたいだけど(苦笑

    ネタバレBOX

    キアロスタミなどのイラン映画に見られる、
    シンプルだが非常に洗練された手法で人生の滋味を感じさせてくれるのと似たやり方で、
    監視社会のなか、
    現代的な技術である携帯電話やビデオカメラによって
    分断され、脅迫され、お互いを欺き合い利用されつつ、
    (言葉の)暴力的な様相を際立たせていく
    テヘランの若者たちをクールに切り取っていく。

    最早、自分がイランや台湾などの映画を通してみた、
    人間味溢れる表情豊かな人々という世界は、消え去ってしまったのかもしれない。

    携帯電話などの普及によって
    相手の顔を見ずに平気で嘘を言えるということ。

    ビデオカメラによって
    前の交際相手の人生を簡単に破滅させる力を手にすること。

    それらは、現代的な技術によってもたらされたものだが、
    同じように更に昔、西洋によってもたらされた銃のように、
    ある種の力を持って
    イランに生きる人たちの人生を別の形で変えつつある。

    日本でほんの少し前に起こったのと同じような社会の変化が、
    イランでは現在進行形で生み出されている。

    ひょっとしたら、
    かつては日本映画などの中にあったある種の洗練、
    近代以前の日本文化にあったと思われる均整とでもいうべきものの残り香、
    それに似たものがイラン映画の中にもあったような気がするのだけれど、
    その最後のペルシャ文化の光芒を今、自分は目にしているのではないかという気がしていた。

    ペルシャ人にとって、
    検閲というのはさほど問題ではないように見える。

    考えてみれば、
    サァディーの「薔薇園」の時代から、
    王様の機嫌を取りながら社会を風刺する美しい詩を吟じる話など、後を絶たない。

    英国人や日本人に比べれば、
    どうやら遥かにそれらの検閲を見透かす術に長けたペルシャ人を観客にもったイランの作家たちは、
    検閲を逆手にとって、
    見た目の刺激に流されることを免れながら、
    裏に多くの意味を含んだままシンプルだが力強い作品の制作に専念できているようで、
    それは一見、検閲から免れて自由を謳歌しているように見える西洋や日本にくらべ、
    遥かに自由な創作環境を得ているようにも感じられる。

    たぶん、
    イランの作家たちにとって、
    創作の本当の危機というのは検閲などではなく、
    携帯などのコミュニケーション技術の発達によって、
    人間が依然持っていた表情の変化を失い、
    代わりに声だけで嘘をつくときにみせる
    探るような表情が顔に張り付いて、
    他の表情が欠伸の出るような、詰まらない、味もそっけもないものになることなんじゃないかという気がする。
    (嘘をよくついている人というのは大抵シケた顔をしている気がする。
    それは、シケた顔をした人が皆嘘つきという意味では勿論ないけれど、
    嘘つきの人はどんどん自分の顔をつまらなくさせているのだと気づいてほしいなぁ・・

    もし検閲というのが文化の芽をつむものなのだとしたら、
    ペルシャや中国などでの、当時の日本からしたら目もくらむばかりの
    眩い文化というのは説明がつかない。

    一見、自由を謳歌しているようにも見える日本だが、
    良く考えてみれば、メディアにはスポンサーになったグローバルな企業群が好む
    パッケージ化された情報が垂れ流されている。

    みんな(男も女も)、AKBみたく自分もうまくパッケージ化されようと、
    特に若い人ほど必死になっているように見えるんだけど、
    それこそが生きづらさの根源で、
    まぁ、上手くパッケージ化されたフリをするのは別に人生の余興程度にとどめて、
    もっと大事なことは別にあることにもっと気づいてほしいなぁ、
    と、特に若い男子について思う。
    (女子はみんなそんなことにはとっくに気づいているのでクールだろうけど(笑

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    2012/11/03 23:14

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