満足度★★★★★
やっぱり山の手事情社は凄い。
肉体が、せりふが、凄い。
もう全く別ジャンルの唯一無二の「山の手事情社」のパフォーマンスはほんとなんでこんな皆知らないのかな〜と思ってしまうほど。
先週の傾城反魂香も予約していたのだが、突然入院する事になってしまい、しかし「道成寺」はみたい!ので退院したその足で浅草へ。
万全の体調ではなかったので、そのエネルギッシュな舞台に見るだけでへとへとになると言う・・・
でも見られてよかった!
会場に入るとあっ!いつもと会場の使い方が違うと騒いで
会場のお姉さんに「そうですよね〜」と言われてしまう。
(余談だけど、山の手のお姉さんはとても優しい。マスクしてたら帰りに「お風邪ですか?」と声をかけられてしまった)
去年の9月の「オイディプス王」「タイタス・アンドロニカス」も今回と同じアサヒ・アートスクエアだけど、会場の使い方が違う。今まで長方形の部屋の長い辺に舞台を置いて大きくとっていたのに対し、短辺に舞台を置くこっちの方が多分オーソドックスな作りに。
道成寺は多分4回上演されていると思うんだけど、初演は横だった、DVDにもこのバージョンが収録されている。
これによってどう違うかと言うと、蛇の蛇行が短かくなったという点と桜の花びらが舞うかどうか。
女性が蛇の身体になるシーンが2回あるのだけど
清姫の蛇の移動距離が短かったような・・・それとも初演ではあまりの恐ろしさに
自分が巻かれるような錯覚に陥ったのだろうか?
またエンディングに降り注ぐ黒い桜の花びらが。客席にもがんがん降り注いで、自分自身もそのもの語りのなかに入り込んでしまったかのような錯覚になったものだった。
初演は泣きながらスタンディングオベーションした。外人の人が「ブラボー!」と叫んでいて
うらやましかった物だ。(日本人はどうしていいかわからないから)
違いといえば、
最後に「お前に人の魂が残っていると思うのか」というせりふがあるが
この役柄を演じる女性が背の高い女性だった事。今回は清姫の人が演じていたので小柄感が
あったのだが、ここは前の方が怖かった。しかし、鐘作りの女の後ろから出てくるところは
リアルに(・д・ノ)ノビクッ こうなった。
あと、一緒に行った旦那様は「シールのシーンが変わってた、シールが鱗みたいだったのに」
ともいっていた。
だからといって全然悪かった訳ではない。落ち着いてみれたと言うか。
よくも悪くも複数回みているからそういう細かいところに目がいくようになり
落ち着いてみられるようになっているのだ。それはもう伝統芸術に近い。
歌舞伎とか忠臣蔵何回もみたから飽きるってことはないでしょ。
そういう風に少しづつ代わりながら演じられている道成寺、
しかし私はやっぱり苦しくて悲しい物語にもうならされてしまう。
今昔物語のところで「人を好きになることはいけないことでしょうか」それに理由がいるでしょうか
と詰め寄る女。私ははっとしてむねをつかれていると隣でお客様のなかで男性の方がちょっとわらっていらした。確かに滑稽かもしれない。でも何がいけなかったんだろう。
最後に女が「だから女は修行の妨げになるのでさわってもいけない」といって立ち去る後ろ姿。
山の手事情社のお芝居に置いて舞台上の演技スペースから外れると役者さんは憑き物が落ちたようにスッとシーンから離脱するが、女は見切れるまで女のままだったように想い。
私はぐっと来ていた。
山の手は古典の部分と踊りの部分とシュールな現代劇の側面を持っていて
道成寺はその全部が凄くバランスがいい。
タイタスアンドロニカスやオイディプスだと踊り見足りないし全部が古典で
疲れてしまうかもしれない。そういう意味でも私は道成寺は一番好きだな〜と思う。
もちろん女の蛇体なるその表現も、キャスリーヌも好きだ。
見終わってすぐでなんだが。将来もう一度みられるならまた見たい。
2004.5 AsahiスクエアA 初演?
2004.11 大隈記念講堂
2007.10 赤坂RED/THEATER///見逃し
2012.12 アサヒアートスクエア←今回