エッグ 公演情報 NODA・MAP「エッグ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    3つの時代をつなぐ「エッグ」
    改装なった東京芸術劇場で一番最初に観た作品。
    真新しく、以前より段違いに心地良くなった空間で観る本作は
    中盤まで観客をおいてきぼりにしかねないほどに、ハイテンションで
    物語を進めていく。なので、前半~中盤、作品世界の理解がかなり
    難しいかもしれないです。

    その分、後半で、物語の全貌が明らかになると、一気に目が離せなくなり、話の進行自体もゆっくりになっていきます。ラストは切なくも哀しい〆で、
    印象深かったですね。

    ネタバレBOX

    「エッグ」という、東北出身の若者が事実上生みの親となった
    新しい形のスポーツがまずは話題にされる。どうも、この競技は
    毎回オリンピックの公式種目に選出されそうでされず、その動きが
    選手、そして国民の半ば悲願になっているようだ…。

    と思いきや、男性が中心のはずの「エッグ」が、実は成立当時は
    女性のスポーツだったことが判明し、みんなで看護婦の格好をして
    競技に臨んだり、舞台設定が東京オリンピック時の東京のはずが
    戦前の「失われた帝国」、満州帝国であったりと、次々に新しい事実が
    判明し、観客は混乱させられます。まるで、確かなことは何もないように。

    既に、「正しい歴史」は時のかなたに追いやられてしまったかのように。
    「エッグ」の為に遺された公式記録がでたらめ千万だったことでも
    それは分かります。

    逆に、正しい歴史を知っている者は、次から次へと過去の自分達が
    関与した「過去の時代」を後ろに捨て去って、眼の前の「新しい時代」に
    転身を図っていく。その姿は、古いゼッケンを捨て去って、新しい
    ゼッケンで競技に臨む選手のように。

    しかし、そうした華々しくも、きれいな立ち位置にいつもいる人々の
    足元では、何も知らない、ある種素朴な人達の無数の死がいつも
    在るという事を、この作品『エッグ』はえぐり出していきます。

    献身的に、理想に邁進していく人ほど、「時代」における用が済んだら
    切り捨てられる。それは、「エッグの聖人」という、過去、そして今でも
    ほとんど何の意味も無い称号で計られるには、あまりに重い事実でしょう。

    ラスト、誰もいなくなり、きれいさっぱり何も無くなった、夢の満州帝国で
    使い捨てられて車椅子の上で孤独に息を引き取る阿部とイチゴの姿は
    まるで過去の、そして現在進行形の日本の民衆の姿を見るようで、
    敢えて美しく演出されている分、切なくも哀しい光景でしたね。

    全体的に、前半から中盤まで駆け足過ぎて、観客としては少し
    から回ってた感がなきにしもあらずかも。それでも、時折入る
    笑いがいい感じに効いていたけど、後半、どんどんダークで
    シリアスに進行していくので、結構観るのは消化不良感があったかな。


    その事も含めて、単純に終わらない、情報量の多い演劇だと思います。

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    2012/10/06 06:12

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