満月の人よ 公演情報 トム・プロジェクト「満月の人よ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    老齢者向き、安定感ある舞台でした
    行かないと言いつつ、そっと観て来てしまいました。

    隠れ村井ファンなので…。

    天狗に攫われるとか、ネズミに引かれるとか、神隠しに遭うとかは、私の幼少期には、東京でも、祖母が二言目には言っていた台詞でしたし、とりもちも、蠅をたくさん採って、見た目が気持ち悪いと思いながら、すごいなあと感心したりしていました。

    ですから、東京育ちの私にも、どこか、郷愁を覚える作品でした。

    村井さんと岡本さんの自然体の演技と九州弁が、とにかく心地良く拝見できます。

    池田さんも、作品によっては、ややデフォルメした演技がわざとらしく感じる時があるのですが、今回の舞台では、両親思いの人の良い息子ぶりがとても自然で素敵でした。

    謎の女性を演じる、川崎さん含め、この4人のキャストの塩梅が全てに亘って、観客を心地良く舞台世界に誘う水先案内人的スタンスでいらっしゃいました。

    特段、驚くような展開があったり、ドラマチックだったりはしないのですが、終始、居心地良く観劇できた作品でした。

    ただ、これ、もしも、招待で行かれた観客は、十分満足される舞台だとは思いますが、チケットを買って、どうしても観たいと思わせるだけの吸引力は、どこか不足しているように思うのです。

    演劇興行の難しさを痛感しました。

    ネタバレBOX

    私の生家は、以前、島田正吾さんのお宅だったせいか、納戸に、舞台道具だの、天狗のお面だの、いろいろなモノがありました。

    私が悪さをすると、祖母が、そういう舞台道具を使って、私を脅かした記憶が蘇りました。

    村井さんが、天狗のお面を被って、屋根に上がり、「天狗さんよ、どうか、もう大切な人を連れて行かんでくれ」と、空に向かって、叫ぶ場面が、村井さんのあまりにも秀逸な演技故に、涙が零れて仕方ありませんでした。

    描かれている舞台は、70年代。もうこういう美しい日本は取り戻せないのかと思うと、村井さんの声に、自分の心の声を重ねてしまうところがありました。

    西鉄ライオンズの芝居の時にも、感じましたが、私は、東さんの、劇団での作品より、こういう一般大衆向きな作品の方が、断然好みなのだと、改めて自覚致しました。

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    2012/09/30 18:52

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