満足度★★★
解釈さまざま、どれもきっと正解
自分が演じる登場人物と、自分自身の存在。
あまりに演じる役に同化しすぎていくと、本当の自分自身が何者なのかわからなくなってゆく。
演じる登場人物の人生を背負えば背負うほどに。
観客として観ているわたしたちでも、上演されるお芝居の内容が自分自身の体験や想いに触れる時、共感しすぎて引きずられることがある。
ましてや演じている役者さんにとっては、それは尚のことだろう。
演じている役の体験、台詞、想いが、自身が内面に抱えているものとふっとリンクする瞬間がひとつひとつ重なっていくごとに、その境目はあいまいになっていき、溶け合い同化してゆく。
このお芝居は、お芝居の中でお芝居をするという劇中劇を題材に使われている。
役者が役を演じていく中で、架空と現実の境がわからなくなってゆくことに関する実験を、実際に劇中で演技をしながら行うという内容。
劇中劇が進んでいくにつれ、徐々に境がなくなっていく様がよく出ていたように感じました。
劇中の役者たちはきっと、それぞれ自分たちが演じている役と自身に共通項があるのだろうなとも思ったり。
最終的にあれは・・・役者たちが、演じている役さらには芝居と溶け合い交じり合った結果、芝居世界が現実に出現した、ということなのかな?
なかなか、意図せんとするところを理解するのが難しく・・・観終わった後、脳内ぐるぐるでした(笑)
その劇中劇自体もなかなかにおもしろく、ゲームというよりは・・・ゲームを題材にした漫画のようで、個人的にはハン○ー×ハ○ターを連想(笑)
物の怪を退治するハンターという職業な人々がいる。
そしてそのハンターたちを取りまとめるハンター協会があって、ハンターたちはその実績に応じたハンターレベルというものがある。
ハンターたちは、みなそれぞれ特殊な能力を使うことができて。
各自ハンターという職業に就くにあたって、それぞれのドラマがある。
しかし、その「ハンター」という職業を成り立たせるために、ハンター協会の人間は物の怪を悪者に仕立て上げて、さらにその影では物の怪が全滅してしまわないように養殖しているという。
それは漫画ちっくであり、かつありがちといえばありがちかもしれないけども。
逆にいうと、この劇中劇だけでも一公演成り立たせることができるだけのボリュームがあるということでもあり。
そこには人間心理の本質を突いていく台詞が散りばめられていたり、観ているものが何を意味しているのかと考え込まされるような背景設定もあったり。
さらには表現方法が前回公演ですごい!と思わされたザキさんらしいおもしろい形態で。
観た後、さらっと終わってしまわず残り続けるような、とても見応えのある公演でした。
次回作もとても楽しみです!