非家族【ご来場誠にありがとうございました】 公演情報 オーストラ・マコンドー「非家族【ご来場誠にありがとうございました】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    公演期間が短い
    戦前の実在した場所。その当時の人達にすれば、もう80年なのか、まだ80年なのか。決して故郷を捨てるわけではない。必要に迫られた選択はいつの時代にもある。
    各々訳あって暮らす場所が無くなり、帰らない、帰れない覚悟を持った上で移民として海外の新天地で生きる決断をし、故郷を去ろうとしている4人の男女の姿。
    3日間足らずの出来事。
    多くを語らずとも、沈黙という行動でも気持ちは伝わる。
    メトロで見せる月船さんが「動」なら、今作では「静」を全面に出している。

    港から聞こえる優美な汽笛。この選択は決してこの世の終わりではない、彼らの道程に光輝を見いだすのはかなり先だと思うが、ゆっくり動き出した4人の「生」の息遣いが存分に伝わるいい舞台だった。約90分。

    ネタバレBOX

    その当時の女性の下着姿って、木綿のシミーズ(スリップ?)の様な気がするが。

    家長にあたる男、アキノリ。起床時には太陽に向かい、一日の無事を祈り念仏を唱える。自ら喋り出す事はあまりないが、新天地には希望を持っているよう。着慣れない一張羅を人前でなんとかしっかり着ようとしたり、手際は悪いがシャツの下線を合わせ、ボタンをきっちり確認する仕草にその当時の真面目な日本人の姿が想像出来る。そんな彼が見せた最後の取り乱し方はひたすら悲しく切ない。
    フサエ。冒頭彼女がつぶやく一言から物語が始まる。朝になれば、普段と変わらず家族に接する。オオギが入った事により、それまで忘れようとしていた、不注意で亡くした実子の存在を思い出す。凛とした佇まいが前半の姿なら後半は脱力、放心、惜別、悲しみ、と無力に尽きた表情が、見ていて何ともツラく重い。でもそんな顔も美しかった、と思うのは酷い事なのかな。
    トカチ。息子。生まれた時から実の親の顔を知らない、アキノリの家の納屋で知り合う。若いからか、家族の中では文字が読める。行く宛がないから一緒にいる感じだが、時代が変わっても彼の様な無気力さと女性に対する勢いに似た無謀な覚悟が見える若者って今に通じてる。悪い事は出来そうにない一線が見えた性格と態度が良かった。
    オオギ、監督者から勧めらて加わった女。身体一つで女の商売をしていたため、色々あけっぴろげ。フサエの息子に話かけてる様子は、彼女も子供であり女親でもあり、優しい表情だった。終盤、フサエとの言葉を考えながら話す場面はとても良い場面だった。

    彼らは日本に居るうちに、家族写真撮れたのかな。
    公演期間が短いのが残念、同じ規模で是非再演してほしい。

    0

    2012/09/16 12:47

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大