「僕と彼の彼女達」 公演情報 セロリの会 「「僕と彼の彼女達」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    話の流れは面白いのですが
    どうも、今まで拝見したヒロセさんの作品の中では、まだかなり推敲が必要な未完成さを感じました。

    謙介の兄、庄司が、終始一貫、作者の造型した架空人物の域を出ず、そのせいで、庄司を取り巻く女性たちの台詞が、空虚に聞えて仕方がありませんでした。

    主人公の謙介役、尾方さんと、この店の従業員役の女優さんが、とても素敵な演技をなさっていたので、もっと作品にリアルさがあれば、ずっと感動的な舞台になったかもしれないと、惜しまれます。

    ここで愚痴っても詮無いことですが、後ろのカップルが、楽しくご観劇だったのはいいのですが、出演者以上に、おしゃべりをされて、まるで茶の間でドリフでも観ているかのように、「えー、そうなっちゃうの?」とか、「あら、捨てちゃうの?まずくない?」とか、一々、舞台の進行に感想や驚きを露呈されるので、客席環境が最悪だったこともあり、酷暑の中、わざわざ観に行くことはなかったなと後悔しました。
    開幕前のお二人の会話から推察すると、このカップルは、関係者のお知り合いのようでしたので、折あらば、生の舞台を観ている時は、観客は私語は慎むように、お伝え頂けると幸いです。

    ネタバレBOX

    謙介の兄の元妻と、その友人が登場するまでは、なかなか面白く舞台は進んでいて、あー、やっぱりヒロセさんは作劇がうまいななどと呑気に観ていられたのです。

    ところが、謙介の兄、庄司を慕う女が次々立ち現れて、「私が庄司の恋人」と覇権争いをする段になると、突然、芝居が陳腐なものになりました。

    庄司の最後の恋人が誰なのか、彼女が登場した途端、読めてしまいましたし、シンデレラのガラスの靴のように、婚約指輪をはめて、ピッタリの女性を彼の恋人と認定しようだなんて、ファンタジーとか不条理劇ならいざ知らず、橋田さんのワタ鬼みたいな雰囲気のこの手の芝居では、白けるばかりです。
    だいたい、指輪なんて、同じサイズの人はたくさんいるでしょうに…。(ちなみに、私の母の指輪を叔母達に形見分けした時、ほとんど誰もサイズ直しする必要がありませんでした。あの指輪がピッタリな人間が、7人中2人だけという設定は、あまりにも芝居じみて感じます。)

    初めから、もっと徹底したドタバタコメディなら、こういう設定もありですが、途中まで、人情喜劇風に進むので、リアルな筋立てと不協和音を起こしたように感じられました。

    舞台に登場しない人物は、役者の演技力で、味付けはされないので、よっぽど作者が血肉を通う描き方をしなければ、魅力的な人物にはなりえません。
    庄司の魅力は、この作品の一番主軸になる部分なので、もう少し、熟考して、庄司という人間に、命を吹き込んで頂きたかったなと思いました。

    楽日だというのに、遠藤さんが、庄司の名前を間違えたのも、如何なものかと思いました。

    全体的に、作者にも、キャストにも、庄司への愛が少なかったような印象でした。(それが証拠に、あれだけ、何ヶ月も行方不明の庄司を恋しくて仕方なかった筈の元恋人達が、最後の彼女に、「彼は末期癌で余命幾許もない」と聞かされても、誰一人、彼の身を案じないんですから。あれには、大変驚きましたが、もっと驚いたのは、後ろでさんざん感想述べてた男性が、この件には全く突っ込み入れなかったこと。たぶん、御同好には楽しめるお芝居なんだと思いました。)

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    2012/07/29 21:40

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