Shambles 公演情報 劇団スクランブル「Shambles」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    女と犯罪
    花で飾られた美しい銃のフライヤーが“女と犯罪”をイメージさせるが
    ”ヤワ”か”ヘン”な男に比べて、強い女の心意気が楽しい舞台だった。
    ラストの「どっひゃー!」が良く出来ている。

    ネタバレBOX

    仲の良い5人(うち夫婦1組)が、メンバーの一人の父親が所有する別荘へやって来た。
    台風に見舞われてようやく辿り着いたのだが、
    何とそこには死体が3つと9900万円の現金が入ったアタッシェケース、拳銃付き。
    警察へ通報しようにも携帯の電波も入らない山の中だし、車を出そうにも台風だし…。
    というわけで謎解きするうちに「これ、山分けしない?」という話になっていく。

    実はそれぞれ深刻な“金の悩み”を抱えていたのだ。
    シングルマザーは、一人息子の病気の治療のために、
    夫婦は友人の連帯保証人になったばっかりに借金を背負い、
    別荘の持ち主のパパは、脱税の罪を一人で背負わされて捕まっちゃった…。
    職務に忠実だった刑事の真実(竹内もみ)も、友人たちの苦境を知ってついに折れた。

    「どうせ被害届なんて出せない金に違いない」
    「死体さえなければ事件は無かったことになる」
    「だから死体を切り刻んで消してしまおう」

    という結論に至るのだが、同時に謎解きも試みられる。
    この3人は誰なのか、なぜ大金が(妙に半端な)残されているのか。
    銀行強盗説、悪の組織説、仲間割れ説、男女関係のもつれ説等々…。
    仮説が立てられるたびに、いきなり死体が動き出して再現ドラマが始まる。
    これがメチャメチャ可笑しい。
    3つの死体の中でも、ヘンな顔とヘンな動きで“怪しさ全開”の男(中根道治)が
    毎回他の2人の女をイラつかせて強烈な印象を残す。

    そして最後の再現ドラマには、刑事の真実が加わっている。
    彼女こそが、3人を殺して金を奪った犯人だった。
    刑事としての仕事に限界と疑問を感じ、
    困っている友人たちを救いたいと決断しての犯行だった。
    その再現ドラマの終盤、第一発見者の祐花(藤井牧子)が
    死体の次に金に気付いてバッグに詰め込むところが再現された。
    そして叫び声を上げて仲間を呼ぶ前に、客席を向いてにやりと笑う。
    そのスゴイ迫力に火サスもびっくり。
    この人の台詞のテンポやギャグの間にセンスを感じる。
    全ては、ラストのこのギャップの為だったのだ。

    スピーディーな展開とシャープな切り替え、
    個性的なキャラ設定が功を奏して
    コンパクトな上演時間ながら充実してとても楽しかった。

    犯罪者の背中を押すのは、時に正義だったりする。
    たとえそれが独りよがりで偏った正義だとしても。

    それにしても己の信じる正義の為なら殺人もやってのける決断力、
    こういう腹くくった潔さ、やっぱり男より女だわ。

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    2012/07/22 03:58

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