短編劇集 vol.2 夏カフェ『夏いろいろ』 公演情報 劇団桃唄309「短編劇集 vol.2 夏カフェ『夏いろいろ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ちょっと昔の自分に戻れた
    劇作家セミナーで、お世話になった長谷さんや、同期メンバーがたくさん関わっていた公演だったせいか、あの頃の、無邪気だった自分に戻れて、少し、幸せな気分になれました。

    いつも、とある業務観劇人が、指摘されるように、今日も、定刻に到着している客が、数人の未到着の方のために、待ちぼうけの図がありましたが、カフェ形式だったせいか、待たされることに殺気立つ方はいないようでした。(苦笑)

    ただ、ちょっとビックリしたのは、開演時刻を5分以上遅刻された若い女性が、カフェの飲み物を客席で普通に注文していらしたこと。たぶん、彼女が、最後のお客様だった筈なんだけど…。

    たった2畳間のスペースで繰り広げられた演劇世界は、なかなか多様で、楽しめました。

    Bパートの小林さん、野中さん、山西さん、Aパートの五十嵐さんの演技が、大変印象的でした。

    ネタバレBOX

    「ヒゲの訪問者」…大好きな飯田こうこさんの愛ある短編で、やはり好きな作風でした。ただ、こういう形態の劇作が初めてだったせいか、空間の使い方に、工夫が足りず、小道具や、人間が、舞台狭しと溢れている印象で、観客側が、演じられる世界に身を委ねられない、閉塞感が残念でした。
    小林肇さんは、いつも、どんな芝居においても、誠心誠意演じられる姿に、好感を持ちます。彼の登場が、この作品を一定レベルに押し上げた気がします。

    「海へ」…野中さんの表情が自然で、一緒にドライブをしているような気持ちになれました。途中から車に乗り込んでくる、山西さんの飄々とした演技が、一気にこの芝居を面白くしました。
    ドライブ、ちょっとあちこち行き過ぎな気もしましたが、昔、人生の初キスをした場所が出て来たりして、個人的に、感傷的になったせいもあり、不覚にも泣きました。(笑い)話の筋は見えていましたが、長谷さんの演出が巧みで、きちんと劇世界の住人になれたひと時でした。

    「鳥色の夜を行け」…よく存知上げているおさださんの作品で、きっと、嫌な気持ちで帰る系かなと勝手に想像していたので、意外な感動作でした。(笑い)
    「10年ぶり」という台詞が何度も出て来て、そこはカットしても良さそうに思いましたが、二人の男女の関係性と、死んだ男が、上手く描かれて、3人の人物が息をしている作品でした。カラスに纏わる話になってからは、特に、短編小説を読むようで、素敵な終幕場面でした。ただ、このタイトルは、「烏」とだけした方が効果的だったようにも感じます。当パンに、「1匹の烏」とありましたが、烏は「1羽」じゃないのかなとも。

    「ずっと待ってる」…後半意表をつく展開もあり、一番好きな作品でした。五十嵐さんが、とにかく魅力的。作者の思惑に乗せられないぞーと頑張ったけど、何度も泣かされてしまいました。
    昔から、愛し合っている同士の別離のお話には弱いので。(苦笑)
    この頃、亡くなった母の父へのラブレターなどを読む機会が多いため、余計、ウルウルしてしまいました。

    全体的に、出演者の技量にバラツキがあるのが、残念でしたが、作品的には、佳作揃いでした。長谷さんは、女優さん選びが、大変お上手な気がします。

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    2012/07/09 02:23

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