髪をかきあげる 公演情報 Moratorium Pants(モラパン)「髪をかきあげる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    シーンごとの様々な密度と息遣い
    シーンごとのニュアンスがキャッチィで
    時間を感じることなくその重なりを楽しむことができました。

    戯曲も強かだと思うのですが、
    それを空気として舞台に編み上げ積んでいく
    作り手や役者達にもシーンを見続けさせる魅力がありました。

    ネタバレBOX

    いくつかのシーンがルーズに撚り合わさっていくのですが
    それぞれの断片の歩みが
    恣意的に貫きを減じたような部分があって。

    シーンの色も統一感があるわけではなく、
    時にクリアで、あるときには汗臭く、
    ドキドキさせたり、まったりしたり、
    やわらかくときめいたり、鈍く深くビターだったり。
    それらがシーンが重なる中で
    毎日を生きる肌合いのなかに束ねられていく。

    場の揺らぎが
    空気のボディと透明感の比率で
    絶妙にコントロールされていて、
    シーンの切り取り方や
    ちょっとした感覚へのデフォルメも
    場ごとの感覚に肌合いを作り出して。

    ルーズであいまいな変化が
    役者の息遣いや心のほどけ方に染められて
    映える。
    次第に
    舫を解かれたような昂揚や寂寥が
    シーンのつながりからかもし出されて。
    さらにはそのどの感覚にも染められない
    空白が浮かび上がって。

    戯曲の仕組みによって
    組み上げられた時間ではあると思うのです。
    でも、台詞や物語のデザインから
    さらに立ち上がる役者達の醸しだす刹那ごとの感性が
    尖ったり急いだりことなくシーンに満ちていて
    ふっと観る側が内側に引き入れられるような感じがあって。

    初日の時点では、シーンの重なりに
    すこしだけ互いの色が映えない部分や
    逆に不要なメリハリが生まれていましたが
    公演を重ねていけば、
    役者達がそれぞれのシーンに編み上げるものが
    さらなる肌触りを生み出す予感もあって。

    公演の後半に
    作品の質感がどこにまでに至るのか
    確かめたい誘惑に駆られてしまいました。

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    2012/07/05 17:43

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