正義について (公演終了・ご来場御礼) 公演情報 殿様ランチ「正義について (公演終了・ご来場御礼)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ふわっとした感じで「正義」についての、ある意味、群像劇
    「正義」について声高に訴える作品ではもちろんない。
    殿様ランチ的な視点で、「正義」について、ふわっとした感じで、笑いを交えながら、その周囲を取り巻く人々を見せていく。

    ネタバレBOX

    物語の軸は、何でもつい注意してしまうクリーニング(元)店主。
    彼は、正しいことを、周囲の注意を聞かず行ってしまうのだが、たぶんその結果、店は焼け、彼自身は自分のそうした行動によって、周囲に迷惑をかけてしまうと思い、発作的にテントを買い、それを持って見知らぬ町の公園で、誰にも行き先を伝えぬまま1人暮らしを始める。
    いわゆる蒸発。

    彼は、自分のその状況を特に悲観するわけでもなく、「普通」にテント生活をしている。
    その彼の周囲に訪れる、「正義」というほどでもないが、そんなキーワードによって結びついたエピソードが繰り広げられる。

    彼の行ってきたことがいいとか悪いとか、舞台の上では判断させず、彼自身も何ら答えを出すわけではない。
    出すわけではないのだが、なんとなく気になる女性が、実はネコに餌をやっていたことに対して注意をしないという、人間的な面を見せたりもする。
    彼が、テント生活を経てそう変化したのかどうかは不明だが、消防士試験のエピソードや、怪しい商品を売るサラリーマンの姿勢、注意して殴られたりする主人公の姿を見せ、「どうなの?」と、舞台の上からぼんやりと問い掛けられているようだった。

    決めつけや答えを指し示さないところが、殿様ランチっぽいと言えるのかもしれない。
    あと、くすくすしてしまう、笑いがあるところも。

    ラストで、暴走族のような轟音の中、主人公はどう対応したのだろうか。

    主人公の元クリーニング店主を演じた小久保剛志さんの普通感が印象に残る。それに従う妻役の杉岡あきこさんもいい仕事をしていた。
    そして、主人公の妹弟のとてもいいコンビネーションで笑わせてもらった。弟役の相楽孝仁さんは、少々あざとさもあるのだが、妹役の中村貴子さんがあくまで普通のスタンスでそれを受けるので、方言の絡まり方とともに、そのバランスがよく、とても面白かった。特に妹役の中村貴子さんは、うまいな、と思った。
    ギターを持った男の竹岡常吉さんも、ちゃらい感じがなかなか面白く、ハーモニカ落とした男の服部ひろとしさんも、いい味。役所の職員を演じた板垣雄亮さんは、ズルすぎるが面白いのだからしょうがない。

    全員が、肩の力を抜いて、軽く演じているように見えるところが、殿様ランチの良さだと思う。

    セットはトイレ付きの小さな公園をリアルに作ってあったので、クリーニング店のシーンは、一瞬何が起こったのか混乱した。だって、トイレから出入りするのだもの。公園のトイレでやってるクリーニング店かと思った(笑)。すぐに違うとわかったのだが、例えば、クリーニング店のシーンのときには、男子トイレのサインをクリーニング店のポスターとか料金表に変えるとか、ちょっとした、それぐらいの変化がほしかった。
    あと、小鳥、劇中誰かが突っ込むのかと思っていたけど、あれは放置だった(笑)。

    あと、意外と衣装を細かく変えていたことには好感を持った。ネクタイまでにもきちんと気を遣って。

    どうでもいいことだけど、殿様ランチのここでの公演だと、いつもは階段の踊り場(の外)に劇団の旗があったり、公演に関係のあるディスプレイがあったような気がするのだけど、今回はなかったような。

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    2012/07/03 07:46

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