満足度★★★★
宇野亞喜良の絵
宇野亞喜良の美術、衣裳、メークに至るまでが、ほんとに素敵だった。これだけでもかなり満足。今井寿の音楽もさすがというか、良かったわ。
入りやすくて、わかりやすくて、とにかく楽しい天守物語でした。これなら小6の娘を連れてきても大丈夫だったわ。客席通路での立ち回りもありで、すぐ真後ろに魑魅魍魎が張り付いてたり、図書様の息遣いが聞こえたりすると、やっぱりドキドキしますよ!
ただ、私はもっと耽美趣味に寄ったお芝居を期待していたので、残念な点はあった。富姫の人物造形がちょっと子供っぽいかな。女の子、という感じ。無邪気さはあっても、やはり魔物、人間を超越した存在だと思うのだけど、そういう要素はちょっと薄く、人間的な富姫だった。かつては人間であり、人間の心を持つからこその図書之助との恋、ということなのかな。
前半のキャンディボックスみたいな華やかな亀姫来訪の場面から、兵士の攻撃を受けてラストに向かうにつれて、舞台がだんだんと透明な印象になっていく。図書之助と富姫が互いに相手の為に命を差し出すシーンはさすがに美しかった。
主役二人のうち及川さんの富姫は愛らしかったのだけど、魔の要素が足りなかったのが不満。荒木さんの図書之助は文句なし。真っ直ぐな青年像はぴったり。
他の役どころとしては、関戸さんの亀姫!何と言っても可愛い!曽世さんのススキも魅力的だった。