満足度★★★
物語と分離した身体表現
『静ver.』とほぼ同じ台本をうさぎストライプのスタイルで演出していて、同じ物語ながらもかなり異なる雰囲気がありました。
舞台にはランドセルやピアニカ、ノートといった小学生時代を連想させるのアイテムが散乱していて、6人の役者は物語上ではいない設定のシーンでもずっと舞台に居続ける演出で、リアリズムな演出だった『静ver.』を観ていないと状況が分かりにくかったと思います。途中で実際にその場に居る設定になっている役者達の間でボールを回し続けるシーンがありましたが、そのような仕掛けが他のシーンでもあったら良いと思いました。
相対性理論の曲に合わせて運動やゲームやダンスをしながら台詞を話し、曲のサビで照明が全開になるのは、選曲や動きを含めてうさぎストライプのスタイルそのままでしたが、うさぎストライプとは違って物語に関連する動きをするシーンもあり、その時はこの手法がとても効果的に感じられました。しかし、動きと物語が関連していないときはそうする意義が感じられない時が多かったです。
動きをこなすのにエネルギーが持って行かれたのか、『静ver.』ではしっかり描かれていた各キャラクターの性格の表現が弱く感じました。