満足度★★★★
こういうの大好き。
どんな切り口でも思いがあふれてくる佳作だと思います。
こういった劇場内で完結しない、観劇後も「あれ?そういやあの時、彼はこんな表情をしてたけど・・・あれは一体どういうことだったんだ? ・・・となると、こういう考え方もあるんだよなあ」等々いろいろと思いめぐらすことができる芝居って、好きなんだよなあ。 正直、まだいろいろと思ってるから、感想を書きたくないくらいだもん(笑)
題名の『厨』は、ネット用語。
「中学2年生にありがちな、自分が他人とは違う特別な存在だと思っており、意味も無く格好付けてしまう状態」(←劇団HPより引用)
ぱっと見は、コメディ要素が強いかなー。
4月に駅前劇場の男肉du soleilの番外ライブで披露された、陰核さんプロデュースのコント(成人男性が、カードゲームに夢中になる話)を、しっかりガッチリ仕立てたって感じ。
登場人物のイタさが、哀しくも可笑しい。可笑しくも哀しい。
前半部分のおもしろさは、絶品。
でも、コメディとしてだけじゃなくて、「大人の男としての生き方」「男と女との絡み合い」「依存関係」「能力の活かし方を間違えてる人生」「過去に縛られる生き方」「ファンタジー」「男の性(サガ)」「幸せとは」「仕事とは」等々、いろんなキーワードでもって、観劇後に咀嚼できる作品だな、と。
客席の後方で観るか最前列で観るかでも、感じ方が変わってきそう。
イメージ膨らむ脚本&演出の良さもさることながら、役者さんの演技が凄く良い。
主役の東谷英人さんは、すごくカッコイイ俳優なんだけど(脚がすっげー長い)・・・ダメな匂いをプンプンさせてる。
用松亮さんは、ぽっちゃり体型をフルに活かしてる。ある意味、ステレオタイプな「おデブちゃん」の役なんだけど・・・この「おデブちゃん」が、恋をしたら?ひょんなことがキッカケで大人の階段登り始めちゃったら?なんて考えちゃうと・・・この芝居は、サスペンスの様相を帯びてくるのかもしれない(笑)
溝口明日美さん。とーってもかわいい女優です。
で、一番イタくて、一番クセモノで、一番社会人で・・・そんな役を好演してます。
で、長野海さん。彼女の芝居を始めて観たのは、『母アンナの子連れ従軍記』のアンナ役の時。この時から、「この女優さんはスゲーな」って思ってた。
今回は、イカれた奴らの接着剤役のような人物を好演(ま、この人物も、相当なもんなんだけど)。
ちょっとだけ色っぽいシーンがあるんだけど・・・薄手の夏パンツで来場したことをちょっと後悔しちゃったね(←ボクも、相当イタいわ)。
あっそうそう。脚本は手に入れたいとそんなに思わないんだけど、DVDはすごく欲しい。マジで欲しい!なんでだろう?笑