平田オリザ・演劇展vol.2 公演情報 青年団「平田オリザ・演劇展vol.2」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    違いを楽しむ
    「平田オリザ演劇展vol1」から1年を経て、「3.11」を思い起こしながら味わう「さようなら」と「銀河鉄道の夜」。「隣にいても一人」の3つの地域編を見比べて、個々の作品の独特さを体感。不条理を楽しむ「阿房列車」と「思い出せない夢のいくつか」。一度に色々な種類の作品を楽しむ事が出来て、有意義な企画。今から今年度末の「vol3」にも期待してしまう。

    ネタバレBOX

    「さようならver2」(Eの回)前作同様、アンドロイドと人間の区別があやふやになって錯覚してしまう。「3・11」を経て生まれた続編部分は秀逸。アンドロイドと引越し業者のやり取り。持ち主が死んだ後、アンドロイドは福島県双葉町の海水浴場に送られるようだ。人が立ち入れない被ばく地域で、亡くなった多くの人のために詩を読み続けるために送られるアンドロイド。劇中、壊れたかのようにずっと詩を読み続けるアンドロイドに、ちゃんと喋れるか問いかけると「はい、大丈夫です」を繰り返し、繰り返した理由を問うと「わからない」という。その「わからない」は機械と人間の狭間をあやふやにする言葉だと思う。プログラムにはないものだから。

    「銀河鉄道の夜」(Cの回)は昨年も見て、泣きそうになって、今年も見て泣きそうになった。前売り完売で、ダメ元で、当日券狙って行ったら、3階席を用意してもらえて感激。友人の死を通して学ぶ、人間の孤独と本当の幸せ。子供の頃に本で読んで以来、現在まで何度も「銀河鉄道の夜」に触れているけれど、こんなに繊細で、前向きな物語なんだなと再発見出来る内容です。東北でも公演するとの事で、被災した子供達にも、是非たくさんのものを感じて欲しいです。

    4/7のアフタートークで、平田オリザさんが≪不条理劇は「朝起きたら何かに変わっている」か「永遠に何かを待ち続けるか」どちらかだ≫と話していたのが印象的でしたが。「思い出せない夢のいくつか」と「阿房列車」は「永遠に~」系、「隣にいても一人」は「朝起きたら~」系だ。

    不条理劇をまとめて見れる幸せを感じつつ、思った事は。自分の見えてる世界が全てでは無い感じ、「世界はなんだかよくわからない」という感覚が面白いなと思った。電車に乗る事、食事をする事、起承転結のない雑談。目的があって手段があるとか、原因があって結果があるといった事抜きに、現象だけがポツンとそこにあってそれを当惑しながら受け入れる。そのつかみどころのなさが、自分の知らない世界を広げてくれて心地よい。「阿房列車」は昨年元祖演劇乃素いき座の上演を拝見しての初見の印象は簡素な装置で役者の生々しさが目立ったが、今回の現実味のないひょうひょうとした感じはつかみ所がなくて面白かった。「思い出せないいくつかの夢」は、阿房列車と銀河鉄道の夜との相関を意識した構成が楽しく、重なる所と違う所の妙を眺めて見ていた。

    「隣にいても一人」せっかくなので3つ共、と思い、三重→広島→関西の順で観劇。夫婦になるという在り方がとても不思議に思える、でも夫婦になる事がとても魅力的に思える作品でした。方言や地域の違いで、同じ内容もこんなに見え方が違うのかと新鮮な発見でした。三重編は、物語を一番自然に見せてくれた。広島編は、キャストが若いからかその初々しさがたまらない。関西編のノリは他2編とは異質、ボケとツッコミがニュートラル過ぎて、脚本内の笑い所より、何気ない会話の方が笑いが大きい。感情の起伏も他2編と大分違って見えた。関西・三重の2編に出演の二反田さんに一際存在感を感じました。

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    2012/04/18 00:44

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