期待度♪♪♪♪
つかこうへい ONLY LIVE TWICE
つかこうへいの代表作である『熱海殺人事件』が、再演されるたびに(時にはその公演期間中もずっと)改作され、新しいバージョンとなって上演されてきたことは周知の事実。自作のリメイクを常に繰り返し、まさしく「演劇は一期一会」であることを実作で証明してきた感がある。
つか氏の死によって、つか氏自身による新バージョンの誕生は望めなくなった。しかし『熱海殺人事件』は決して死んではいない。昨年「つかこうへい復活祭」と銘打って、東京・紀伊国屋ホールで上演された「NEXT」。タイトルは「続編」だが、「原点に帰る」意味で、オリジナルバージョンの『熱海殺人事件』を、毎年キャストを変えつつ、上演していくと言う。それが今年は福岡にも御目見得、初演に引き続き木村伝兵衛部長刑事を演じるのは、福岡出身の山崎銀之丞、大山金太郎を演じる新キャストは、これも福岡出身の中村蒼だ。今回は、ちょっとした『熱海殺人事件』福岡バージョンである。
偶然にも、福岡演劇フェスティバル『売春捜査官』と合わせて、この春は二つのつか芝居が競作されることになった。つかこうへいは死んでいない。そう信じる人たちの情熱が舞台を支えてくれるだろう。期待大である。